【2013年2月27日】のアーカイブ

 まだまだ寒い日が続いていますが、明後日はもう弥生3月。花月、花見月、夢見月などとも呼ばれ、春に向かってグーンと暖かくなり、心も何となくウキウキする3月ですが、春霞が立つ日が多いため星を観察するには今一つすっきりしない季節でもあります。

 そのためか、東京で最初のプラネタリウムを備えた有楽町の東日天文館(毎日新聞社の前身、東京日日新聞社のビル・東日会館内)で1941(昭和16)年に発行されたパンフレットの天体解説は「南極の夜空」と、日本の夜空から離れたテーマでした。この号の解説は英文学者、随筆家とも知られ、冥王星の和訳命名者で、天文民俗学者の野尻抱影さんが書いたものです。

 プラネタリウムでは南極の1年の夜空を映し出して解説を進めていたようです。まずその序曲として、北極南極点飛行で有名な米国のリチャード・バード少将の探検紀行による3月4月の南極の夜空の紹介をしています。旧仮名遣いで書かれていますが、現在の文章にすると「4月19日、太陽は南極海の昼に告別するが、その前幾日かの間は、日一日と低く北西の地平伝いに交隣を転じている。物の色彩は次第に繊細に精巧になってくる。高い巻雲はまるで熱帯植物を思わせるような濃厚な色にひるがえる。黄、金、緑、淡紅、藍――その華やかさ目覚ましさは言語を絶して、しかも見ている間にも微妙な変化を続ける。空の上層は大胆な透徹した大西洋の藍色に染み、北と南の地平は薔薇色の霧に煙る。鯨湾の崖、岬、雪の尖った押し出しは長い影の畝を刻み、岸壁の上の窪々は、生き物のように腹這う光で輝いている。......」などと、当時の人たちに未知の大陸、南極の自然素晴らしさを訴え、本当に行ってみたくなるような表現で解説されています。

 そして、「夜が深く大きく流れ込んでくる。空には豪華な星座が輪を描いて廻り、オーロラが目まぐろたい(?本文のまま)舞踊(バレー)を展開し始める」と、オーロラの解説に入ります。「無限大のプリズムのo-rora.jpg色が、流れ、融け、滲み、そして美しい複雑な律動に分かれて、まるで昼が春恋としてでもいるようである。振り返ると自分の影が実に大きく長く曳いていて、人間のものとも思われない」としています。

 当時の日本人で実際にオーロラを見た人はほとんどおらず、プラネタリウムの映像を見たり、パンフレットの表紙の絵と天体解説で幻想的でロマンあふれるものと感じたことでしょう。

 このパンフレットはアマチュア天文家、小川誠治さんのコレクションの一つですが、小川さんはオーロラの美しさに魅せられ、自分がアラスカで撮影したオーロラの写真を送ってくれました=写真。実際にオーロラを見た人は世界観が変わるといいます。それだけ魅力的な天体ショーなのですね。

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