パレスサイドビルから竹橋を渡ると国立近代美術館があります(写真は桜の季節にパレスサイドビル屋上から撮影)。東日本大震災後、所蔵作品展において、東北ゆかりの作家らの作品を展示する「東北を思う」シリーズを開催していて、現在はその最終回として5月6日まで1970年代以降の作品を展示中です(一般420円、大学生130円、高校生以下無料。)。昨年夏のシリーズ第1弾の中では、「天心と五浦(いづら)と日本美術院」と題した特別展示が行われました。日本美術院の主催者として日本近代美術の基礎を築いた岡倉天心と、彼が設計し、今回の震災の津波で流された茨城県北茨城市・五浦海岸の「六角堂」を紹介する展示でした。
同美術館の工芸館で開かれている「越境する日本人――工芸家が夢みたアジア 1910s-1945」も天心に関連ありです。大正から昭和初期にかけて大陸へと旅立った多くの工芸家とその作品を紹介する展示ですが、「アジアはひとつ」という天心の言葉に代表される日本の工芸家に流れていた「アジア主義的な思潮」を伝えるのが展示の狙いとか。急激な西洋化の荒波が押し寄せた明治という時代に、日本の伝統美術の優れた価値を認めた天心。彼が日本の近代美術に与えた影響の大きさが伺えます。7月16日まで。一般500円、大学生300円、高校生以下無料。ちなみに今年は国立近代美術館開館60周年で、誕生日は誰でも本館を含め無料です。