【2013年2月15日】のアーカイブ

 先日の当ブログで冬の風物詩、ズワイガニの産地を証明するタグをいろいろ紹介した中に「とっとり(鳥取)松葉がに」のタグもありますが、何やら下に小さい文字。よく読むと、「キトサン入り因州和紙」とあります=写真㊤

 キトサンは、カニやエビの殼などから精製され、「コレステロールが高めの人に」と健康食品(特定保健用食品=トクホ)に使われるほか、化粧品、さらに素材として繊維やフィルムなど幅広い分野で使用されます。カニが多く上がる境港がキトサンの生産量日本一と聞きました。鳥取県特産の因州和紙を、このキトサンでコーティングしたこだわりのタグなんです。

 「因州和紙」とは、因幡紙(いなばのかみ)ともいわれ、因幡国(鳥取県東部)で、三椏(ミツマタ)や楮を原料に生産されてきた手漉き和紙です。県のホームページによると、起源は定かではありませんが、奈良時代の正倉院文書の中に、因幡の国で抄紙されたと推測される紙が保存され、平安時代の「延喜式」(えんぎしき=905~927年編纂)に因幡の国から朝廷に紙が献上されたという記録も。江戸時代には藩の御用紙として、また庶民の使う紙として盛んに生産され、明治時代に入ると、海外からの漂白技術導入などのおかげで生産が飛躍的に伸びたそうですが、戦後はコピー機等の台頭や生活様式の激変で事務用薄葉紙や障子紙等が壊滅酌な打撃を被ります。新製品として「画仙用紙」等の書遺用紙と工芸紙、染色紙を開発、特に手漉きの高級画仙用紙は現在日本一の生産量を誇っています。書き心地がよく、他の和紙で1枚書くうちに2枚書け、墨の減りも少ないことから「因州筆切れず」と言われ、全国で愛用されています。最近は、伝統的技術を基礎として、立休形状の紙や機能性和紙など新製品の開発にも取り組んでいるとか。

 「日本文化いろは事典」というサイトによると、紙を漉く技は、原料の液を簀桁(すげた)で汲み、揺り動かしながら繊維を絡め合わせ、何度も汲み上げることによって希望の厚さにします=写真㊦、鳥取県因州和紙協同組合のホームページより。画仙紙は全判1枚の重さが8匁(もんめ)5分(約31グラム)で、名工の漉いた紙は100枚が100枚、同じ重さで厚さにも差がないという神業だそうです。鳥取県農林水産部によると、東京では小津和紙(中央区日本橋本町3-6-2、http://www.ozuwashi.net/index.php)が因州和紙を多く取り扱っているとのこと。最寄駅は地下鉄日比谷線・小伝馬町、銀座線と半蔵門線・三越前など。パレスサイドビルの竹橋からもすぐです。

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