【2013年4月10日】のアーカイブ

 東京・竹橋のパレスサイド近くの北の丸公園や千鳥ヶ淵は、桜の名所としてだけでなく水と緑豊かな自然を有する都心のオアシスにもなっていますが、環境省はこのほど千鳥ヶ淵とその周辺について皇居の森と一体となって多様な生物が棲める環境となるよう「千鳥ヶ淵環境再生プラン」を策定しました。

 千鳥ヶ淵をはじめ清水濠、平川濠、桜田濠、清水濠など皇居のお濠は近年、水質の悪化により大量のアオコが発生したのですが、日比谷に設置した水質浄化施設で浄化した水をお濠に流しているほか、東京都が雨天時の下水道の越流をお濠に流さないようにする対策を進め、同27年にはアオコの発生は解消される見込みとなったそうです。このことから、皇居外苑の象徴的なスポットである千鳥ヶ淵周辺から自然環境を再生して行こうというのです。

 注目されるのは、現在、田舎の方でしか見られない貴重な自然がこの都心に残っていること。特に、都会ではあまり見られなくなったヘイケボタルが千鳥ヶ淵の隣で、九段会館や旧千代田区役所庁舎と北の丸公園の間にある牛ケ淵に生息していることが分かった点です。

 ヘイケボタルは、ゲンジボタルとは違って清流にしかいないカワニナだけを餌にするのではなく、モノアライガイやタニシなど水田などにもいる巻貝も食べて育ちます。したがって幼虫は里山の流れの穏やかな小川や水田、湿地でも生息するのです。ただ、水田地帯などでは農薬の散布や家庭雑排水などの非常に汚れた水が流れて餌が無くなったり、川や水路がコンクリート化されて洪水時に幼虫が流されたりしたことから極端に減少したのです。heikehotaru.jpg

 山や高原、里山など自然を売り物にする地区などでは観光の目玉としてホタルを養殖して放しているところも少なくありませんが、牛ヶ淵のヘイケボタルはよそで生まれたものを持ってきて人為的に放したのではなく、正真正銘の"江戸っ子"。環境省皇居外苑管理事務所は「DNAでも南関東に生息していたホタルの子孫であることがわかっています」と話しています。

 同省はこの"純血"を守って今後も他で育ったヘイケボタルを入れずに残っている本籍・牛ヶ淵のヘイケボタルを大事に育てていくとしています。ただ、心配なのは年によって発生する数が不安定なこと。比較的多い年もあれば、見つけにくい年もあり、安定させるのが大きな課題だといいます。環境再生が軌道に乗ってヘイケボタルが増えていけば、他のお濠でも見られるようにしたいといい、何年か後には、皇居の周りでホタルが乱舞する風景が見られるかもしれません。

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