【2013年3月28日】のアーカイブ

 今月中旬には咲き始めた東京の桜のほとんどはすでに満開を過ぎましたが、このところちょっと寒かったり、雨が降ったりで、花はまだ散らずに咲き誇っています。この週末は各地で美しい花吹雪が見られ、桜の木の下での花見の宴が盛んに行われるでしょう。東京・竹橋のパレスサイド近くの北の丸公園や千鳥ヶ淵など都心の桜の名所では、広場にシートを敷くなどしてグループや家族で弁当やお菓子を食べたりしながら桜を楽しむ姿があちこちで見られそうです。

 外国では、花を観ながら酒を飲んだり、唄ったり、はたまた踊ったりすることはあまりないようで、桜を見ながらお祭り騒ぎをして楽しむ風景は日本人特有のことでだそうす。落語でも「長屋の花見」「花見の仇討ち」「花見酒」など花見が多くの題材になっているぐらい昔から日本の人々の大きな楽しみの一つになっていたようです。花見をしている人たちの表情は皆豊かになっています。

 花見の花は花の中でもタンポポや菜の花ではなく、桜の花でなければなりません。では、なぜ桜の花が咲くと浮かれたり、酒が欲しくなったりするのでしょうか。桜の花のほのかな香りが、悲しみや不安といった感情をほぐし、心を明るく高揚させて幸せな気持ちにさせてくれるという効果があるからとか、花の薄いピンク色が人の心をウキウキさせるといった見方があります。でも、においや色でそうなるとすると、何も日本に限ったことではなく、桜がある所、世界中で花見宴会の風景が見られるはずですが、そうでもありませんね。

 古代日本の「サ神信仰」に由来する、という日本人のハートに古くから根付くもので、その心が現代まで受け継がれているのだという説があります。

 「サ神」というのは1000年以上前、神話時代よりもっと前の古代人が信仰していた「山の神様」のこと。もともとは山にいて、人々は近寄れなかったのですが、田植えのころに里に降りてきて、「田の神様」となり終わるとまた山に帰るそうです。「サ神」の「サ」がキーワードになっており、田植えの時期、5月を「サツキ(皐月)」というのもこの信仰から「サ神」の月を示しているそうです。そして桜の「サ」はこの「サ神」からで、「クラ」は神様が座る「神座」、つまり桜は山の神様が宿る木なのです。その下でサケ(酒)や魚(サカナ)を捧(ササ)げて、そのお「サがり」(下がり)をいただきながらお祭りをし、飲めや唄えの大騒ぎをしたというわけです。

 そう聞くと、日本人が桜の下で花見の宴会をするというのも「サ」もありなんといったところでしょうか。

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