戦前の明治憲法に戻るって話じゃ、もちろんありません。パレスサイドビルのお隣の皇居内にある旧枢密院の建物の改修工事が足掛け7年の歳月を経て終わったという話です。「国会議事堂と並ぶ大正の官庁建築の貴重な遺構」とされる建物の復活です。
枢密院は旧憲法下の天皇の最高諮問機関です。1888(明治21)年に明治憲法草案審議のために創設され、重要事項、条約締結などを審議。議長、副議長、顧問官らで構成され、伊藤博文が初代議長を務めるなど明治の元勲や大物の官僚出身者、学者らがメンバーとなりました。建物は現国会議事堂の敷地内にありましたが、1921(大正10)年に今の皇居内に新築。戦後は47(昭和22)年の枢密院廃止に伴い最高裁判所などの仮庁舎、62年からは皇宮警察の本部庁舎などとして使われましたが、84年に同本部が近くの現本庁舎に移転後は一部が倉庫として使われるだけで、取り壊しも検討されたといいます。皇宮警察の本庁舎として、今月末にも本部長室や警務課が移るそうです。
建物は鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積1220平方メートル。国会議事堂と同じ担当者が設計に参加し、正面玄関にギリシャ神殿を思わせる高さ約10メートルのドリス式の4本の柱が立ち、屋根の形は議事堂に似たピラミッド状。内部は建築当時さながらに赤じゅうたんが敷かれ、ホール天井には一部補修してステンドグラスが残されています=写真㊨。玄関前の青銅灯も建設当時の姿に復元されました=写真㊧。ただ、各部屋はパソコンや通信設備なども使えるよう改装されましたた。総工費は約5億6000万円。
東御苑のように自由に出入りできない「吹上御苑地区」にありますが、「参観」に申し込めば、外観は見学できます。ちなみに、参観は約2キロのコースを1時間ほどかけて案内してくれます(宮内庁ホームページのコーナー参照=http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/koukyo.html)。