【2013年5月23日】のアーカイブ

 68年前の1945(昭和20)年5月25日、東京は前日の24日に引き続き米軍による大空襲に見舞われました。東京の空襲というと約10万人以上が犠牲になったといわれる同年3月11日の下町大空襲がクローズアップされがちですが、この日の空襲は死者が約3700人、被害家屋は約22万戸と、1944(昭和19)年11月以降106回も受けた東京の空襲の中で、2番目に多い被害があった大規模なものでした。主として麹町、麻布、牛込、本郷などの地域が被災し、山手大空襲といわれています。

 当時、毎日新聞社の本社があった有楽町地区も爆撃機B29から爆弾、焼夷弾が投下され、大きな被害を受けました。毎日新聞社の旧館は難を逃れましたが、毎日会館は焼夷弾の直撃を受け、東日本に唯一あったプラネタリウムを備えた毎日天文館のドームに火が入りダクトを通って燃え広がり次々に燃え移って4階から上がり、4階から上の内部は焼失してしまいました。幸い新聞発行に支障はなかったのですが、道路一つ隔てた読売報知新聞、東京新聞の社屋は全焼したため、26日は両紙と毎日新聞、難を逃れた朝日新聞などとともに共同新聞として発行しました。その後両紙は9月30日までは毎日新聞と朝日新聞の工場で分担印刷をしたのです。

 ところで、25日に焼失した毎日天文館(1943年までは東日天文館)ですが、開館の1938(昭和13)年11月3日から、以前アマチュア天文家、小川誠治さんのコレクションとして紹介したパンフレット、絵葉書などとは別に「星と宇宙とプラネタリウム解説」と題した小冊子も刊行し、販売していました。星と宇宙.png

 A5版より少し大きめで、120ページ、定価は20銭でした。当時の東京科学博物館天文学部主任の鈴木敬信理学士が執筆しており「天球と星」「四季の星」「銀河系と宇宙」「太陽系」「プラネタリウム」の5項目にわたって少し専門的ではありますが、図や写真を使ってわかりやすく解説、星などについてはロマンあふれる内容になっています。プラネタリウムについては全体の図と、星や月をそれぞれに映し出す投影器の写真と図を使って仕組みから映り方まで記し、プラネタリウムが精密であることなどの性能までも説明しています。そして「私たちの日常生活に直接間接関与するところの多い天文現象を、かくも平易に判り易く示してくれるプラネタリウムが出来たことは、天文学活用の上から言って、或は又趣味の上から言って大いに慶賀すべきことでありませう」とPRして結んでいます。

そんなプラネタリウムがわずか6年半で無くなってしまったということは本当に残念ではありますね。

竹橋ガイド

calender

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

May 2013

category

カテゴリ

月別アーカイブ

月別 アーカイブ

eBook

  • 江戸城散歩2008年3月、毎日新聞掲載
  • 江戸城今昔ものがたり
  • 東京・竹橋 花図鑑
  • 東京・竹橋 続花図鑑
  • 東京・竹橋 新緑図鑑
  • 東京・竹橋 歴史絵巻 原始〜江戸時代初期
  • 東京・竹橋 歴史絵巻 江戸時代前期〜現代
  • 東京・竹橋 国際図鑑
  • 東京・竹橋 アカデミー図鑑
  • 東京・竹橋 文学散歩
  • 東京・竹橋 紅葉図鑑
  • 東京・竹橋 歳時記
  • 東京・竹橋 さくら図鑑