そのミャンマー、私たちにとって身近な国でもあるのです。というのも、パレスサイドビルのある竹橋駅から地下鉄東西線で12分、高田馬場駅周辺が「リトル・ヤンゴン」と言われているのです。ミャンマー料理店をはじめ、食材のお店、美容院などミャンマー人が経営する店が20店ほど集まっているのです。同駅から早稲田通り沿いとその路地裏です。リトル・コリアといわれる新大久保の規模にはかないませんが、500人ほどのミャンマーの人たちがそこで生計を立てています。
軍事政権を逃れてきた人たちが、西武新宿線の中井駅周辺のアパートに住み始めたのが起源らしく。下落合、豊島区高田などを含めると約1000人が暮らしているといわれています。彼らにとっては軍事政権が改名したミャンマーという国は存在せず、「お国は?」と聞けば必ず「ビルマ」と答えます。
ミャンマー料理はチェッターヒン(鶏とジャガイモの煮込み)とかトーフトウ(豆腐の和え物)などが中心です。日本とも中華とも違う独特の油に特徴があります。どちらかといえば中国雲南省などに近いため、油もそちらに似ているようです。
第2次大戦の終戦のあと、戦友の遺骨を埋葬し続けるために僧侶になって帰国を拒否した水島上等兵を描いた「ビルマの竪琴」(武山道雄作)以来、日本人には親しみやすい国です。全日空でヤンゴンに飛ぶ前に、高田馬場で「予習」をしてみてはいかがですか。