【2012年12月27日】のアーカイブ

 いろいろあった平成24(2012)年も残り少なくなってきました。街には松飾りを売る店が出るなどして年越しの準備も着々と進んでいます。東京・竹橋のパレスサイドビルでも年末の大掃除を実施したり、ささやかながら正面玄関に鏡餅をお供えして正月を迎える支度も始めています。

正月にはいい初夢を見て、素晴らしい1年のスタートを切りたいと願っている人も多いでしょう。

縁起のいい初夢といえば「一富士 二鷹 三茄子」ですね。どうしてこのように言われているのか? パレスサイドビルの屋上からもよく見える富士山=写真=は遠くからでも素晴らしく、夢に出てきても縁起がよさそうなのはわかりますが、鷹と茄子はなぜなの、という疑問はよく聞かれます。諸説ありますが、「仇討」のことであるという話もあります。

つまり、「富士」は曽我兄弟の仇討。父親を工藤祐経の殺された曽我五郎、十郎の兄弟が富士の裾野で仇を討ったことから。「鷹」は赤穂浪士の討ち入りで、四十七士の主君浅野内匠頭の家紋が「丸に違い鷹の羽」であることから。そして「茄子」はヘタにイガイガがあることから(一説には産地として)伊賀上野の国を連想して、伊賀越しの仇討。「鍵屋の辻の決闘」ともいわれる仇討ちは寛永11(1634)年11月7日、岡山藩士、渡辺数馬と荒木又右衛門が弟の仇、河合又五郎を伊賀上野で討った事件のことだというのです。

かなりこじつけのようですが、親や子供を殺された犯罪被害者の家族としては、この無念を是非晴したい気持ちから仇討ちを夢にまで見る、というのはよくわかりますね。

縁起のいい初夢には続きがあり「四扇 五煙草 六座頭」となるようです。ここまで来ると仇討ちに結びつけるのはなかなか難しそうです。

そこで、敢えて仇討ちと結びつけると「扇」は末広がりから「八」となり、奥平源八ら一族40人が寛文12(1672)年2月3日に、江戸市ヶ谷浄瑠璃坂の鷹匠頭・戸田七之助の屋敷へ押し入り、父の仇・奥平隼人を討ち取った「浄瑠璃坂の仇討」。「煙草」は煙から火事となり、以前このブログで紹介した享保の大火の以後火除け地となったパレスサイドビル近くの神田錦町の護持院原で起きた「護持院原の敵討」。「座頭」は盲人から連想して、文久6(1861)年4月6日に江戸の肥後藩士で夫の平八を殺された下田田鶴が仇討ちを祈願して長年祈願した盲観音堂。明治4(1871)年4月16日、熊本県玉名市石貫のうつろぎ谷で、田鶴、長男・恒平、弟の島崎真八らが平八の同僚・入佐唯右衛門を討った石貫の仇討――というのはどうでしょう。かなりのこじつけのような気もしますが・・・。

「浄瑠璃坂の仇討」では奥平源八らが火消装束で火事をよそおって討ち入ったり、本懐を遂げた後幕府へ出頭するなど30年後の赤穂浪士の討ち入りの手本となりました。また、赤穂浪士の討ち入り、伊賀越しの仇討ちとともに江戸三大仇討ちとされています。

初夢は仇討ちでなくても、縁起のいいもので正夢にしたいですね。

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