【2012年12月11日】のアーカイブ

  東日本で最初、日本で2番目のプラネタリウムは、昭和13(1938)年11月に毎日新聞社の前身、東京日日新聞社が建てた有楽町の東日会館内の東日天文館に設置されたことを先月このコーナーでお伝えしましたが、これを見たアマチュア天文家、小川誠治さんから開館時に発行されたパンフレットのコピーが送られてきました。歴史的に見ても天文ファンにとっても大変貴重な資料といえるようです。

 小川さんはかつて渋谷にあった五島プラネタリウムでボランティアとして活動したほか、オーロラの写真を撮るなどしたり、古い天文資料の収集・研究も行っていて、国立天文台にもない貴重な資料を保存、同天文台のアーカイブ室にも提供しています。

 パンフレットはB5判の二つ折りで、表紙は「十一月の天文館」というタイトルに、特集の「アンドロメダの大星雲」の文字があり、アンドロメダ大星雲の大きな写真などを掲載しています。中面の見開きにはトップに「星の散兵線をみる」と、軍国主義の時代らしい大見出しが躍っています。11月の星として宵(よい)の明星と暁(あかつき)の明星である金星の見え方やアンドロメダ大星雲、カシオペア座とペルセウス座の中間にある双子の山塊星団、ヘルクレス座にある球状星団、牡牛座のスバル、天の川と白鳥座の十字、オリオン座の夜空での展開などが記されています。

 そしてこの年は今年と同じように天体ショーの当たり年だったようで、開館してすぐの11月8日にはその年2回目の月食、22日には部分日食があり、その解説も詳しく記載されています。プラネタリウム(天像儀)でその様子も投影されたようです。

 で、東日天文館の入場料はというと、大人50銭、子供25銭でした。そばが10銭、アンパン5銭、山手線の初乗り5銭、鉛筆3~5銭、教員の初任給が50円という時代で、現在の物価に換算するとプラネタリウムの入場料は1,500~2,000円と、やや高めでした。ただ、軍人、学生、生徒、児童には団体の特別割引が人数に応じてあり、最大で4割引という大幅なディスカウントがありました。軍人はそれだけ優遇されていたわけですが、星を見て場所や時刻がわかるようにと、プラネタリウムが外地に赴く軍人の教育にも多く使われていたことが読み取れます。

東日天文館パンフレット 006 (3).jpg

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