11月8日は「ふいご祭」でした。昔からの鍛冶職の伝統ある年中行事として、旧暦11月8日に行われていました。パレスサイドビルでもこの日午後、R階のボイラーの前に祭壇を設けてお神酒などを供え、ビル関係者、業者の方々が参列して、全員で榊を捧げ、これからの1年の無事を祈念しました=写真㊤と㊦。
ふいご(鞴)は、金属の精鉄や加工には欠くことのできない、火をおこすための道具です。吹子とも書き、いわば人力の簡単な送風装置で、エジプトのファラオの墓標の記録,日本書紀の天の岩戸の条の天羽鞴(あめのはぶき)の記事などがあり,きわめて古くから使われたと考えられています。旧暦の11月8日には、全国的に鍛冶屋、刀工、鋳物師などが仕事を休んで稲荷神社に詣で「ふいご祭」を行いました。京都や江戸で特に盛んで、土地によっては踏輔(たたら)祭、鍛冶屋祭、お火焚きとも呼ばれます。12月8日や4月8日に行うところもありました。「ふいご祭」は、鍛冶屋や鋳物師だけでなく、火を使う商売の家では稲荷神に詣でてお札を受け、ふいごを清めてしめ縄を張り、お神酒や餅を供えました。またミカンをふるまう習慣もあり、このミカンを食べると、風邪やはしかにかからないと信じられていたため、近所の子どもたちには欠かせないものでした。
この日のパレスサイドビルでもミカンをお持ち帰りいただきました。
昭和に入って、ふいごは少なくなりましたが、火への感謝はボイラーをいたわる気持ちにつながることになります。ボイラー安全操業の原点として、昭和11年に汽缶協会が11月8日を汽缶祭と定めました。その後、昭和24年には日本ボイラ協会がボイラーの安全を祈願して、毎年11月8日をボイラーデーとして主唱し、お祭り的な行事から、この日を中心にボイラー関係設備や操作方法の改善をはかろうという実質的な運動に移行していきました。
ふいご祭のこの日、地域や事業所によってはボイラー祭をしている所もあります。ちょうどこのころが冷房運転から暖房運転への切り替え時期で、火の神様にお参りをしたのちにボイラーに点火するという式次第もありました。ボイラーがビル暖房の要だったということにも重なります。