一般社団法人アジア調査会(栗山尚一会長、事務局・パレスサイドビル4階)が岸田文雄外相を招いた昼食講演会が、このほど東京・千代田区の帝国ホテルで開催されました。安倍晋三首相と岸田外相の外国訪問の多さが目立っていますが、岸田外相は「この1年間に約30カ国を訪問し、その間の移動距離は地球を8.7周。各国の首相、大統領、国王や外務大臣など要人約250名と会談した。出席した国際会議は41にのぼった」と語り、二人による「地球儀外交」の徹底ぶりをアピールしました。
岸田外相は①日米同盟の強化、②近隣諸国との協力の推進、③わが国の経済復活に資する経済外交の推進――を「日本外交の三本柱」として、それぞれについて評価。①はケリー米国務長官とヘーゲル米国防長官が歴史上初めてそろって来日し、日本の外相、防衛相と会議(日米2+2)を行い、③も、国際的にアベノミクスが高い評価を得ているうえ、資源・エネルギーなどで重要な中東・アフリカなどに首相、外相の訪問を重ね、国益に沿った形での外国訪問を心がけているなど、順調に進んでいると強調しました。問題は②で、中国、韓国との首脳会談がいまだに開かれないなど、関係修復がなかなか進まないため、粘り強く両国に対話を呼びかけている、と説明しました。
岸田外相は広島出身で、核廃絶などに思い入れがあり、その実現に意欲を示していることでも知られます。唯一の被爆国として被爆の実相を知ってもらうため、核兵器を持たない国がつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)に「ユース非核大使」を置くことを提案し、日本の高校生を非核特使第1号に任命して活躍してもらうなど、きめ細かい取り組みを進めています。
オバマ米大統領が4月に来日しますが、広島出身の岸田外相が安倍首相と組んで「オバマ大統領の被爆地訪問」を実現できるかどうかも大きな焦点になりそうです。
岸田外相は池田勇人元首相の流れを汲む自由民主党の宏池会代表でもあり、国民の中には「穏健保守」への期待も高まっていいます。(文:アジア調査会事務局、写真:荒牧万佐行氏)