【2013年10月30日】のアーカイブ

 突然ですが、ナポリタンです。そうです、スパゲッティ。パレスサイドビルでもナポリタンなど美味しいスパゲッティを食べさせてくれる店がたくさんありますが、このお話は横浜。

 今まさに、日本一のナポリタンを決めようという「ナポリタンスタジアム」なる企画が実施中で、横浜のほか、名古屋、広島、さらに中国・上海まで16店のご当地ナポリタンを食べ比べて王座を決めようというのです。ケチャップで知られるカゴメの主催で、Web(http://kagome-cp.jp/naposta/)でのプレ投票は現在も行われていて、最終的に11月2~4日、横浜・みなとみらいの赤レンガ倉庫イベント広場で、実際に食べて投ナポリタン.jpg票(全16店共通の2枚綴りチケット1,000円、1皿分チケット550円)、Web投票と合わせてチャンピオンを決めるということです。(イベントは「全国ふるさとフェア2013」の一つとして実施)=写真㊧はカゴメのサイトから。

 う~ん、それにしてもなぜ横浜なんでしょうか。それは、横浜が「ナポリタン発祥の地」とされるからです。え~ぇ、イタリアのナポリじゃないかって?

 横浜税関が横浜港開港150年を迎えた2009年2月26日に発表した「スパゲッティの輸入」という文書の末尾に添付された「スパゲティのミニ知識」が、分かりやすくまとめてくれています。それによると、パスタの起源は、アラブで、商人が保存食として利用したのが始まりであるとの説があり、12世紀頃にアラブの支配下にあったシチリアに伝わり、地中海の気候がパスタを乾燥させるのに適していたことから、広く製造されるようになり、やがてイタリアに広まったそうです。 パスタの発展に欠かせないトマトは、原産地の中南米から16世紀にヨーロッパに伝わったとされ、17世紀にはトマトソースが作られパスタ料理に使われるようになりました。

 と、まあ、ここまでが前史。続いて、ナポリタン誕生秘話ですが、その前に、イタリアにはスパゲッティ・ナポリターナがあるそうですが、日本のナポリタンと、どう違うのでしょう。

 ナポリタンはケチャップをベースにタマネギ、ピーマン、ベーコン、ソーセージなどの具材をからめて炒めますね。一方、ナポリターナは、トマトソース、トマトペースト、トマト缶、トマトピューレ、濃縮トマトソース、ドライトマトなどが使われるので、ナポリタンとは全く違うもの。ちなみに、トマトケチャップはイタリア料理ではあまり利用されず、また、イタリアに「ナポリタン」と呼ばれる料理は存在しないそうです。

 さて、そこでナポリタン誕生ですが、横浜税関の文書によると、横浜・山下町にあるホテルニューグランドが発祥の地。 第二次世界大戦後に連合国軍総司令部(GHQ)に接収された際、スパゲッティにトマトケチャップをからめた進駐軍の軍用食にヒントを得て、ホテルの2代目総料理長・入江茂忠が工夫して仕上げ、ナポリタンと命名したとのこと。1955(昭和30)年ごろのことのようです。今でもホテル本館1階のレストラン「ザ・カフェ」では人気のメニューとして並んでいます=写真㊤。さすが、重厚なたたずまいです。ちなみに、ホテルのホームページによると、シーフードドリアとプリンアラモードも「ホテルニューグランド発祥の伝統料理」とのことです。

 このナポリタン伝説、同ホテル4代目総料理長・高橋清一の「横浜流――すべてはここから始まった」(東京新聞)が出所のようですが、このほかにも諸説あり、上野玲「ナポリタン」(小学館文庫)で紹介されています。一つが「海軍説」で、第一次世界大戦に連合国側で参戦した日本が地中海に艦隊を派遣した際にイタリアに寄港してトマトベースのパスタを知ったというもの。1930年代の代表的コメディアンでエッセイストなどとしても活躍した古川ロッパが1934(昭和9)年12月22日の日記に、三越の特別食堂でナポリタンを食したと記していて、これが現時点では日本最古の「ナポリタン」の記録ということで、「三越発祥説」もあります。

 いずれにせよ、日本で一般に広くパスタが広まったのは、1955年にイタリアからパスタ製造機が輸入されてからのことで、この年にパスタの国内年間生産量は 3,770 トンとなり、本格的にパスタ製造がスタートしたと、先の横浜税関の文書に記されています。ナポリタンの考案に代表される日本独自の味の進化が消費拡大に貢献したのは間違いありません。

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