パレスサイドビル屋上の毎日神社の第76回例大祭が10月19日、厳かに挙行されました。
1年あまり前にリニューアルされ、真新しい檜の社(やしろ)と鳥居に生まれ変わってから2回目の例大祭です。北東方向に東京スカイツリーを望む雲ひとつない青空に、特設のテントの白さが映えます=写真㊤。
例年のように毎日新聞社の朝比奈豊社長以下の役員・幹部、羽田恒夫毎日ビルディング社長ほか関連会社代表、毎日新聞とヘリを共同運行している共同通信の福山正喜社長らに加え、ニッポン号の機長、副操縦士のご遺族、ニッポン号を製造した三菱重工業、さらに航空会社の日本航空、全日空の関係者ら多数が参列。修祓、祝詞に続き、参列者が順番に玉串を奉奠(ほうてん)しました=写真㊨。
企業所縁(ゆかり)の神社は珍しくありません。世界のトヨタ自動車は本拠の愛知県豊田市に、俗に「トヨタ神社」と呼ばれる「豊興(ほうこう)神社」があります。場所は本社工場の敷地内の北西端で、トヨタ自動車設立(1937年)の2年後につくられたそうで、毎年、仕事始めの日にはトヨタ自動車社長以下の幹部がそろって参拝するそうです。
「三菱稲荷」との俗称がある土佐稲荷神社(大阪市)は三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が譲り受けて移設したとのこと。三囲(みめぐり)神社(東京都墨田区)は三井家が18世紀前半の享保年間に守護神と定めたそうです。
多くの企業関連の神社は、一般的な商売繁盛とか社員の無事などを祈念するもののようですが、毎日神社はその点、異色です。1939(昭和14)年、毎日新聞社(当時は「東京日日新聞社」「大阪毎日新聞社」)が双発機「ニッポン」号で世界一周を達成するという偉業を成し遂げました。これを機に創建されたのが毎日神社で、飛行の安全への思いを込め全国から送られてきた沢山のお札やお守りが収められています。この時は毎日新聞社が有楽町にあり、1966年に本社がパレスサイドビルに移った時に神社も一緒に移転して今日に至ります。
神社のご祭神は天照大神(あまてらすおおかみ)と大山咋神(おほやまくひのかみ)。大山咋神を祀る神社では比叡山の麓、日吉大社(大津市)が全国の総本社。太田道灌が江戸城の守護神として川越日吉社から大山咋神を勧請して赤坂近くの日枝神社を建てたことから、同神社が江戸時代に徳川家の氏神とされ、明治以降は皇居の鎮守とされているとか。
大山咋神を祀る縁で、毎日神社には日枝神社からいつも来ていただいているということで、この日も、神職2人とともに雅楽奏者2人も来訪され、竹を組み合わせたハーモニカのような笙(しょう)と、龍笛という横笛の音が会場に響きました。