【2015年4月27日】のアーカイブ

 パレスサイドビルで開催中の「第7回鯉のぼり祭り」。地下1階・1階のアーケード街中央廊下の吹き抜けに、鯉のぼりとともに2流(りゅう)の「武者のぼり」がお目見えしています。幅75センチ、長さ7.2メートルの大きさはなかなかの迫力で、東西の夢の階段の真上にそれぞれ1流ずつ。階段を登り降りする人に覆いかぶさるように吊るされています。

 武者のぼりは鯉のぼりと同様、岐阜県の無形文化財に指定されている郡上八幡の紺屋「渡辺染物店」の渡邊庄吉さんが400年以上前から伝わる郡上本染の技法で染め抜いたものだということは、17日の当ブログで書きました。今日は、武者のぼりの絵柄の話です。

 東側ののぼり=写真㊤=は何となくわかりますよね。そう、白頭巾の上杉謙信(写真の上側)と兜をかぶった武田信玄(写真の下側)です。川中島の合戦で、謙〇DSC_5362まる小さい.jpg信が信玄の本陣に切り込んだ有名な場面ですね。堂々たる人生を願い、寿ぐのぼりとして人気だそうです。

 西側ののぼり=写真㊧=は何の場面でしょうか? 渡辺染物店のホームページを見ると、出ていました。豊臣秀吉が毛利攻めの折、備中・高松城を水攻めにした様子だそうです。なるほど、お城が青い水に囲まれていますね。馬印は千成瓢箪でしょうか。3人の人物は、中央が秀吉、下に加藤清正、右奥、秀吉の背後霊のように描かれているのは福島正則とのこと。この城攻めの最中に本能寺の変が起こり、秀吉の「中国大返し」へと続くのは、昨年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」でもハイライトシーンの一つでした。こちらは、立身出世を呼ぶおめでたいのぼりとして、やはり定番の絵柄とか。

 さて、川中島の合戦の方にはもう一人描かれています。写真㊨㊦は一番上の川中島の絵からアップにした真中の人物です。渡辺染物店のホームページにも出ていなかったので、推測させていただきます。信玄と同じ右に向き、左向きの謙信に対峙していること、黒くて長めの棒(恐らく槍の柄)を握っていること、兜はかぶっていないことから、信玄の家来、原大隅守虎吉だと思われます。

 おさらいをすると、川中島の戦いとは、12年余りの間に5回に及んだ両雄の戦〇DSC_5348トリ原虎吉小.jpgいの総称で、実際に川中島で戦闘が行われたのは、第2次の犀川の戦いと第4次の八幡原の戦いだけ。このうち最激戦が1561(永禄4)年の第4次で、一般に「川中島の戦い」と言った場合、これをさすことが多く、謙信・信玄の"一騎打ち"もこの時でした。

 この戦いでは上杉軍が死者3400人余り、負傷者6000人余り、武田軍は死者4600人余り、負傷者1万3000人余り、両軍合わせて3万2000人のうち83%にあたる2万7000人余りが死傷するという戦国時代屈指の激戦で、信玄の弟信繁や有名な軍師・山本勘助も討ち死にしています。

 さて、"一騎打ち"があったのか否かは諸説あるところですが、言い伝えでは次のようになります。謙信が太刀を振りかざし信玄本陣へ単騎乗り込み、信玄に馬上から斬りつけると、信玄はとっさに軍配で受け止めたが腕に負傷。このとき、信玄の「中間頭(ちゅうげんがしら)」の原大隅守が持っていた信玄の槍を繰り出しました。突き損じたものの、謙信の馬の膝を打ったため馬が跳ね上がって駆け出し、信玄は九死に一生を得た――というお話 です。武者のぼりの絵柄と符合するでしょ。

〇信玄・謙信の銅像2.jpg この信玄の本陣が置かれたとされる場所が、現在の「八幡原史跡公園」(長野市小島田町)です。一角に建つ銅像は両雄1対1=写真㊧㊤=で原大隅守の姿は見られませんが、同じ公園内に「執念の石」があります。主君の危機を救いながらも、謙信を討ち損じた無念さから傍らの石を槍で突き通したという言い伝えで、確かに穴があって、槍で刺したように見えるような・・・=写真㊧㊦

 ちなみに、「中間」とは江戸時代には非武士身分で、脇差1つを挿し、時には戦いにも〇執念の石.jpg参加し、平時は雑用を行い、また、大名行列で奴(やっこ=槍や挟み箱などを持って行列先頭を歩く)の役を務めたといいますが、元々は戦闘員である足軽(士分)と家事労働をする下男の中間という意味だったようです。ただ、大名には大名の、家臣には家臣の「中間」がいて、戦では主人の身辺に付き添って武器を渡したり馬の世話をしたといいますから、実質的な戦闘員だったのでしょう。まして、信玄直属の中間の「頭(かしら)」であれば、それなりの立場だったのかもしれませんね。なにせ「大隅守」という立派な名前でもあるし・・・。

 この戦いの後、大隅守は功を認められ、会村(長野市篠ノ井会)あたりに300貫の知行を与えられたとい、墓と伝えられる史跡もあるそうです。少なくともこの戦いの後は正式な武士ということでしょう。武田家滅亡後は徳川家康に仕えたそうです。

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