もうすぐ6月です。6月第一日曜日(今年は3日)に上高地でウエストン祭が開催されます。これが事実上の夏山の「開山式」です。
日本の山の美しさを世界に紹介した英国人宣教師、ウォルター・ウエストン(1861-1940)を記念しての催しであることは言うまでもありません。1896年(明治29年)に「日本アルプスの登山と探検」という著書で、ヨーロッパやアメリカに北アルプス、南アルプス、中央アルプスの素晴らしさをアピールしました。
その上高地でのウエストン祭、河童橋の向こう、穂高連峰にアルプホルンの音がこだまします。地元の合唱団の歌声と、アルプホルンの音色が調和して、上高地に夏の訪れを告げるのです。
スイスの名峰マッターホルンの登山基地、ツェルマットのレストランでも、アルプホルンの演奏が行われています。70歳代の元気な山男たちの楽団の演奏に合わせて、老若男女がダンスを踊ったり、アルプホルンに聴き惚れたりしています。
アルプホルンはトウヒをくりぬいて作ったものが主流です。乳牛を連れて高地に行き、チーズなどを作るときに、有名な旋律「ラン・デ・ヴァシェ」などを奏でたと伝えられています。長さ2-3㍍の管に、音孔もバルブ機構もなしでの演奏になります。
ウエストン祭まであと10日あまり。アルプホルンが今年も残雪の穂高に響き渡ることでしょう。