暖かな春の日差しが戻った24日、パレスサイドビル地下1階の飲食店街に年配の人たちの姿が目につきました。どうやら、ビルのお隣、東京国立近代美術館で開催している大回顧展「没後50年 鏑木清方展」(毎日新聞社など主催)の鑑賞前後の人たちのようです。
鏑木清方(1878~1972年)は美人画の名手として、上村松園と並び称された近代日本画の巨匠です。代表作でありながら、長きにわたって所在が不明だった「築地明石町」(1927年)と、合わせて3部作となる「新富町」「浜町河岸」(いずれも1930年)が2018年に再発見され、話題を集めました。その3部作を含む約110点が並びます。
「築地明石町」は帝国美術院賞を受賞し、清方を名実ともに日本を代表する画家に押し上げた作品で、1975年以来、所在不明でしたが、再発見後に3部作となる「新富町」「浜町河岸」の3作品を東京国立近代美術館が収蔵しました。
実は清方は毎日新聞とゆかりがあり、清方の父親で戯作者の条野伝平は「毎日」の前身である「東京日日新聞」を創刊したメンバーの一人です。多くの文人、絵師たちが集まる環境下で育った清方が、挿絵画家として出発し、その後、画家に転じたのは、ごく自然な成り行きだったようです。
同展は5月8日(日)まで。観覧料は一般1800円、大学生1200円、高校生700円、中学生以下は無料です。