パレスサイドビル周辺のツツジが美しい花をつけ、さわやかな季節を迎えた街並みに彩りを添えています。北の丸公園にある国立公文書館前にはオオムラサキツツジが、色鮮やかに咲き誇り、道行く人の目を楽しませています。
その国立公文書館では今、春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」を5月11日まで開催中です。江戸時代の出版文化をテーマに、近世文学作品を中心に特徴的な版本の数々を紹介しています。江戸時代に登場した「本屋」は書物の制作から出版まで、作者や、絵師、彫師、摺師を統括する総合プロデュースを担っていました。数々のベストセラーを送り出した最も有名な「本屋」がNHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公である蔦屋重三郎(1750~1797年)です。
江戸時代に確立した印刷技術は大量印刷や増刷、挿絵の追加、多色刷りなどを可能にし、近世文学の多彩な表現が生まれました。豊かな出版文化が花開く一方、厳しい出版統制から、人気の書き手や本屋が処罰される事件が起きた時代を展望します。入場無料。