漫画家さいとう・たかをさんの代表作「ゴルゴ13」が1968年11月の連載開始から45周年を迎えたというニュースは、先月、多くのマスコミを賑わしました。
ご存知、「ビッグコミック」(小学館)に連載され、単行本はリイド社から出されています。両出版社の主催で「45周年を祝う会」が11月開かれ、会場に漫画家63人が描いたゴルゴ13が展示され、話題になりました。秋本治さん、あだち充さん、浦沢直樹さん、西原理恵子さん、高橋留美子さん、ちばてつやさん、萩尾望都さん、藤子不二雄Aさんらがコメントを添えて描き、ずらりと会場に並んだほか、ゴルゴ13の等身大フィギュアなども展示され、とても盛況だったそうです(毎日新聞のニュースサイトも写真特集を掲載しています=http://mainichi.jp/graph/2013/11/13/20131113dyo00m200037000c/001.html)。
ゴルゴ13は、巨額の報酬で狙撃を引き受けるスナイパーで、東西冷戦終結で"失業"もささやかれましたが、しっかり生き残り、いかなる困難な状況の下でも狙撃を成功させ続けています。
ちょうど1年ほど前、毎日新聞との「コラボ」が話題になったのを思い出します。2012年11月8日の毎日新聞朝刊に、第527話「ペルシャ湾危機(クライシ ス)」のプロローグが4ページにわたって掲載され=写真㊧、これに続く本編が翌11月9日発売の「ビッグコミック」巻頭に掲載され、物語に毎日新聞の岸井成格主筆(当時、現在TBS「ニュース23」アンカー)が実名で登場したのです=一番㊤の写真と㊨(右の絵にはパレスサイドビルもしかと描かれています)。
「ペルシャ湾危機」は、毎日新聞のテヘラン特派員の(架空の人物)がイランで デューク東郷を見かけるところからスタート。本編は兵藤が岸井主筆に電話するシーンに始まり、デューク東郷のイランでの行動が米大統領選やイラン核問題と関連していることが明らかになっていく・・・というストーリー展開でした。
さらに、11月7日の毎日新聞夕刊1面の「毎日新聞」の題字下に、デューク東郷への仕事依頼の広告、8日朝刊の同じ場所にデューク東郷からの応諾の広告を載せるという、お堅い新聞としてはかなり砕けた企画も実行されました。「ゴルゴ13」では、主人公に依頼をする場合、新聞の広告が使われていることから立案されたもので、7日夕刊=写真㊧の㊧=は「13年式Gトラクター買いたし」「至急の商談求む。但し中東への輸出仕様。委細は面談の上にて。連絡乞う」。8日朝刊の返答=写真㊧の㊨=は「商談に応ず」「スイス銀行の弊社口座へ代金が振り込まれ次第、通関手続きに着手す。 東郷公爵商
事」とありました。
"お遊び"と言ってしまえば、それまでのこと。でも、想像するに、これだけの企てを成すにあたっては、毎日新聞社や小学館の社内で、どれだけの企画書や稟議書、決裁書が作成され、沢山のハンコが捺(つ)かれたことか・・・な~んて考えると、サラリーマンとしては妙に感心してしまうのでした。
でも、かかわった人たちは、それなりに楽しんだのではないでしょうか。