パレスサイドビルが『環境デザインマップ 日本』(建設設備綜合協会環境デザインマップ委員会編、発行・総合資格、1900 円=税別)=写真㊨は表紙=で、冒頭3つの名建築の一つとして取り上げられています。
同書は冒頭3作品+全国137カ所の「環境建築」、さらにコラムなどで取り上げた建物などを含め計145作品を写真や図面、地図入りで紹介したガイドブック。
冒頭では、環境に配慮した「環境建築のエポックメーキング作品」として、国立代々木競技場(渋谷区)、名護市庁舎(沖縄県)、そしてパレスサイドビルを、いわば〝別格〟で紹介。「公害や地球温暖化、省エネといった環境問題に対する意識の高まりとともに、建築の分野においても環境技術が発展してきた。環境に配慮した多くの建築作品がこれまで建てられてきたが、そこには時代をリードし指標となった作品がある」として、「レジェンド(伝説)と呼ぶにふさわしい」と書いています。もう、これ以上ない表現ですね、恐縮、恐縮・・・。
パレスサイドビルのページ(見開き)=写真末尾=は「庇と雨樋の一体化」というサブタイトルが付けられ、注目すべきポイントとして「建物の四方はガラスのファサードとなっている。日射熱負荷を低減するために、南北面には水平ルーバーが、東西面には、朝と夕方の低い日射を遮るためのサンコントロールルーバーがデザインされた。南北面の水平ルーバーは雨樋と一体にデザインされ、雨樋が日除けルーバーを支える構造となっている。降雨時は雨水が流れていくのを見ることができる」とデザイン性と機能の一体化を特筆。そこに添えられた図面が一番上の写真です。
さらに「1966 年の竣工当時は高度経済成長期で、公害問題が表面化し、大気汚染による汚れた都市の空気から建物の居住者をいかに守るかが議論された時代だった。そのような背景のもと、電動式大型ブラインド、スチール型鋼のサッシ、空調二方向吹出口、厚板ガラスフレームレス間仕切り、15mm 厚板ガラスの手摺など、この建物には現代にもつながる革新的な技術がいくつか開発された」と、その先進性も詳述しています。
同書は縦長のB5 判変形280ページ。帯には「本書を片手に建築散歩に出かけよう!」と書かれている通り、持ち歩きを想定し、傷みにくいようにしっかりしとした作りになっています。インタビュー記事や、専門家の解説などもふんだんに掲載し、読みやすいように工夫されています。