2014

28

10

木枯らし1号

 急に寒さが加速したのでしょうか。北海道や東北では雪。東京では「27日夜に『木枯らし1号』が吹いた」と、気象庁が発表しました。朝、出勤の折、強風は収まったとはいえ、上を見上げると、真っ青な空に雲が流れ=写真㊤、マンションのエントランスが落ち葉の吹きだまりになっていまし●DSC_3787トリ.jpg=写真㊨

 気象庁の観測では、パレスサイドビルから数分、東京・大手町の気象庁本庁で27日午後7時44分、最大瞬間風速17.3メートルの北北西の風を観測し、これが「木枯らし」と認定された由。昨年より15日早く、近年では2010、2011年の10月26日に次ぎます。

 ちなみに、「木枯らし」は辞書で引くと「秋の末から冬の初めにかけて吹く強く冷たい風」というように描かれていますが、気象庁の厳密な定義は、①10月半ばから11月末までの間に限る②気圧配置が西高東低の冬型となって季節風が吹くこと③東京における風向が西北西~北である④東京における最大風速が、おおむね風力5(風速秒速8メートル)以上――となっていて、これに適合する記録(1951年以降)を見ると、最早記録が10月13日(1988年)、最も遅い記録は11月28日(1969年と1981年)で、吹かなかった年も1956、1962、1977、1979年と4回あります。

 気象庁によると、27日の関東地方は冬型の気圧配置となって風が強まりましたが、大陸の高気圧が日本列島方面へ移動することで28日から次第に風は収まる見通しとのこと。昼休みにパレスサイドビル屋上に出て見ると、青く澄み渡った空のもと、やわらかい日差しでそこそこ暖かく、それでもまだ強めの風に、毎日神社の鳥居の紙垂(しで)が煽られていました=写真㊦

●DSC_3799.jpg 「木枯らし」は「凩(こがらし)」という字もありますね。日本で作られた漢字で、風の省略形と「木」の二文字の意味をあわせた「会意文字」と呼ばれるもの。「木枯らし」も「凩」も、俳句では初冬の季語ですが、「木枯やたけにかくれてしづまりぬ」(松尾芭蕉)、「木がらしや目刺にのこる海の色」(芥川龍之介)などに対し、「凩」というと、芭蕉と同時代の俳人、池西言水(ごんすい、1650~1722年)がいます。元禄年間の作とされる「凩の果はありけり海の音」で「凩の言水」の異名を取りました。なぜ彼が「凩」を使ったんでしょう。

 なお、木枯らし1号を気象庁が認定するのは東京と近畿地方だけ。「春一番」は全国的に発表されますが、それは暖かい季節の訪れを告げる明るいニュースからで、寒くなるサインである木枯らしは、あんまり歓迎されないってことでしょうか。

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