NHKの朝の連続テレビ小説は3月31日放送から「花子とアン」が始まりました。スタート第1週(3月31日~4月5日放送)の平均視聴率は21.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べから算出)を記録したそうです。高視聴率を記録した前シリーズ「ごちそうさん」の第1週21.1%(同)も上回ったそうで、前々作の「あまちゃん」から引き続き、NHKの連続テレビ小説は視聴率の稼ぎ頭になっています。
ドラマは、ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」シリーズの翻訳家・村岡花子(旧姓・本名 安中はな)の明治・大正・昭和にわたる波瀾万丈の半生を描いています。原案は、村岡花子の孫・村岡恵理さんの著書「アンのゆりかご」。花子は、山梨の貧しい家に生まれ、東京の女学校で英語を学び、故郷での教師生活をへて翻訳家の道へと進んだ女性で、女優の吉高由里子さんが今週から、10~50代のヒロインを演じていきますが、第1週、2週に登場した子役は山田望叶(やまだ・もちか)ちゃん。2004年8月生まれなのでまだ9歳ですが、上手でしたね。撮影エピソードによると山田望叶ちゃん本人は左利きなのに、村岡花子が右利きなので、右利きで演じたそうです。
村岡花子は、1919(大正8)年、26歳の時に故郷での英語教師の職を辞して、再び東京に戻り、のちの教文館で、婦人・子ども向けの本の翻訳と編集に携わります。この年、福音印刷株式会社の経営者村岡儆三(けいぞう)と運命の出会いをして激しい恋に落ち、半年間で約70通のラブレターを交わしたといいます。そして秋には儆三と築地教会で結婚、大森に新居を構えます。花子の著書の後書きのほとんどに「大森にて」と書かれているのがこの地です。この大森の家は建て替えられてはいますが、今は「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」が併設されています=写真㊤。「大田文化の森」(旧・大田区役所)の近くにありますので、先日行ってみました。「記念館」の花子の書斎・蔵書などの展示品は各地での展覧会などに貸し出され、今年は休館とのことですが、住宅地の入り口にある飲食店にもNHKドラマのポスターが貼ってありました=写真㊦。ほかに近くには、村岡花子が通った日本キリスト教団大森めぐみ教会もあります。
村岡花子の年表では、「1955年ヘレンケラー来日の際に通訳」と記載されています。日本ヘレンケラー財団、東京ヘレンケラー協会はパレスサイドビルの毎日新聞社にとってはご縁のある友好団体です。日本ヘレンケラー財団のウェブページは、財団の紹介として「1948年8月のヘレンケラー女史の来日(毎日新聞社招聘)を記念して設立された社会福祉法人である」と書いていますが、花子が通訳をした55年は3度目のヘレンケラー来日でした。このくだりはNHK「花子とアン」で描かれるのでしょうか、楽しみです。