2014

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平次親分の碑って、知ってます?

 先日、親戚の結婚式で神田明神に行って、平次親分の碑を見つけました。一定の年齢以上いの方なら、野村胡堂(1882~1963年)の「銭形平次捕物控」の主人公としてお馴染みですね。

 中庭には写真㊦㊧のような、観光地によくある記念撮影用の「顔出し看板」(顔ハメ看板とも言うようです)がありますが、碑は本殿の右脇というか、裏って感じの場所。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、外神田を見下ろす場所です。高さ2メートルはあろうかという立派な自然石に「銭形平次」の4文字。台石は平次お得意の銭投げに使った「寛永通宝」で、向かって右隣りに高さ50センチ程の小ぶりの石もあり、これが子分の「がらっ八」(八五郎)の碑という、しゃれっ気あふれるシロモノです。

  

 平次は架空の人物ですが、物語の設定が、神田明神下の台所町の長屋に恋女房お静と住み、この界隈を舞台に活躍した――となっていることから、胡堂没後の1970(昭和45)年、明神下を見下ろすこの場所に、胡堂も会長を務めた日本作家クラブの作家有志、出版社、映画・テレビ関係者らにより建立されたもの。脇に発起人の名を記した碑=写真㊤㊨=もあるのですが、顔ぶれが豪華。出版界で文芸春秋社の池島信平、中央公論社の嶋中鵬二、講談社の野間省一、さらに映画界では大映の永田雅一、東映の大川博ら、戦後文化産業の大立者の名がズラリ。作家(歴史小説)の山岡宗八、山手樹一郎、映画で平次を演じた長谷川一夫、テレビの大川橋蔵の名もあります。平次の碑以上に、むしろ、この顔ぶれに感心してしまいました。

 平次の特技の投げ銭は、胡堂が「水滸伝」に登場する石礫(いしつぶて)の名手、張清(ちょうせい)に想を得て、通りかかった建築現場に「銭」と書かれていたのを見て、銭を投げる特技がひらめき、その銭高組の看板から「銭形」の名前も思いついたそうです。

 神田明神へ参拝の折にちょっと立ち寄ってみてはいかがですか? 竹橋からは地下鉄で丸ノ内線御茶ノ水、千代田線新お茶の水、銀座線末広町の各駅へ10分内外、各駅からはそれぞれ徒歩5分程度です。

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