週末に、久しぶりに井の頭自然文化園(武蔵野市、三鷹市)に行ってきました。上野や多摩に比べて規模では到底かないませんが、それほど混雑していませんし、今の季節をのんびり楽しむにはいいですね。
ワタシ的には、動物園と言えばサル山なんです。見ていた時、ちょうど子ザル同士がロープに逆さまにぶら下りながら、つかみ合いを始めました。足だけで、よくつかんでいられるものだと感心。のんびり毛づくろいも、自分でやったり、他人(猿)にしてあげたり、やってもらったり、ホンワカしていてなごみます=写真㊧。
とはいえ、ここ井の頭の最大のスーパースターは・・・そう、長寿日本一のはな子です。どうも「インドゾウ」と、つい言ってしまうのですが、最近の言い方はアジアゾウです。
終戦後の1949年9月にタイから上野に来たのですが、7月にインドのネール首相から贈られたインディラより2カ月遅かったこと、また贈り主がタイの民間人(実業家)だったことなどから、インディラの大々的な歓迎ぶりに比べ、地味な到着だったようです。
名前は公募され、戦時中に殺処分を命じられて死んだ上野の「花子」の名を継ぎました。来日当時はまだ戦後の混乱期。動物は貴重で、「移動動物園」が各地の子どもたちを励ましました。中でもインディラとはな子は人気者で、静岡から北海道まで旅をし、その際、井の頭も訪れたのがきっかけで、市民の要望を受け1954年に移籍しました。
はな子は今年、66歳を迎え、国内のゾウの長寿記録を更新しました。単純に比べられませんが、野生では60歳くらいが寿命(ナショナルジオグラフィック)とされますから、人間なら90歳~100歳になるとも。これまでの記録は2008年に65歳で死んだ神戸市立王子動物園の雌のインドゾウ諏訪子。ちなみに、インディラは1983年に49歳で亡くなっています。はな子は日本に来たとき2歳半でしたが、誕生日ははっきりしないため、毎年元日に一つ年をとるそうです。
ここまでの人生には、山も谷もあったことでしょう。毎日新聞によると、2011年末には、突然、好物の青草やバナナをほとんど食べなくなって、飼育係の人たちを心配させたそうです。血行促進のため飲み水に薬用酒を加えたり、薬草のドクダミを食べさせたり、10種類だった餌を30種類以上に増やすなど懸命に介抱。やっと回復したと思ったら、2012年3月には加齢で胃腸の働きが弱った末の便秘による腹痛で、運動場に座り込んでしまい、便秘しにくい餌に組み立て直したといいます(2013年01月22日朝刊「66歳『はな子』長寿の背景に飼育係の工夫の数々」ほか)。
先日も、大勢の子どもたちから「はなちゃーん」と声をかけられ、なんとなく得意げ=写真㊨。前に来た時もそうだったんですが、お客さんに向かってバックしてきて、そのまま壁の方に戻って行くといった動きを繰り返していました。正面からはお尻しか見えないってことですが、それも、ご愛きょう。動きが思いのほか軽やかで、感心しました。