パレスサイドビルから15分ほどのところ、千代田区一番町の英国大使館裏手に昭和に出会える博物館「日本カメラ博物館」があります。ビルの地下1階にある博物館も珍しいかなと思いますが、名機から珍品まで、国内外のカメラ約1万台以上を収蔵する博物館です。昼休みに散歩がてら覗いてみました。メーン写真はカメラ博物館入り口で、右の写真はガラス越しに映した博物館内部です。(入館してからの撮影は禁止です)
世はデジタル全盛で、今年に入ってからはコンパクトデジカメとミラーレス型デジカメはいずれも高性能化していくスマホに市場を削られていますが、一眼レフデジカメは平均50%売り上げを伸ばしているそうです。しかし、このカメラ博物館では当然アナログのフィルムカメラが圧倒的に優位になっています。
世界最初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプ・カメラ」は、日本ではここでしか見ることのできないカメラで、1839(天保10)年と説明に書かれていました。ほかにも組み立て式の木箱のカメラ、大正から昭和にかけての(1945年以前の)高価なカメラも興味深いのですが、何より戦後のカメラは幾つかの年代ごとに分類されていて日本の工業史ともいえるものでした。ちなみに私の生まれた年に作られた距離計連動式カメラも並んでいました。
ニコン、キヤノンなど各メーカーの一眼レフカメラを分解した全部品展示も垂涎ものです。バラバラにした650点~850点の部品が一目瞭然、あの一眼レフカメラの中に850点もの部品が詰め込まれているのは驚きです。
ちょっと変わったところでは、新人オードリー・ヘプバーンがアカデミー最優秀主演女優賞を受賞した映画『ローマの休日』で粋な小道具に使われたジッポーライター型カメラ「エコー8」=写真㊦、愛好者のWebページから=もありました。ちなみにエコー8は日本の鈴木光学の製品で、8ミリ幅フィルムを使用した6×6ミリ判の20枚撮りスチールカメラです。さすがに今となっては8ミリ幅のフィルムは入手困難ですし、"タバコに火を点けながら"の撮影も別の意味で困難でしょう。
常設展と特別展があり、10月20日までの特別展は「カメラがわかる展」で、真っ二つにしてカメラ内部が見えるカットモデルや、透明になったスケルトンモデル(もちろん撮影はできない宣伝用です)など写真の仕組みも分かる展示になっています。10月29日からの特別展は「The LEICA ~ライカの100年~」で1923年のライカ0型から一堂に、ライカと日本の関わりも紹介されるそうです。
日本カメラ博物館は千代田区一番町25JCII一番町ビル、月曜休館、入館料一般300円。