全国の4割を占める約150軒がここで軒を連ねています。地元の人たちよりも出張のサラリーマンや観光客に人気の夜のスポットです。豚骨ラーメンのバリカタ(カタ麺よりさらにカタく茹でた麺)でもお酒でも、お好きなメニューでどうぞ。
福岡市の屋台の話です。パレスサイドビルを運営管理する㈱毎日ビルディングが管理している毎日福岡会館は福岡市中央区天神にありますが、市中心部を流れる那珂川を挟んで、すぐ対岸は「九州最大の歓楽街・中洲」。博多湾に注ぐ那珂川が地名の由来どおり中州を作っていて、そこは北東から南西にかけて長さ約1㌔×幅約200㍍の細長く狭い地形で、夜ともなれば約3500軒の飲食店や風俗店などが灯りをともします。この那珂川沿いに並ぶのが博多名物の屋台です。福岡市にはこのほか昭和通りや長浜地区にも屋台が軒を連ねています。
この屋台の営業適正化へ、今月から福岡市屋台基本条例が出来たそうです。屋台に営業ルールを守ってもらうのが狙いで、ルール違反の悪質屋台には『退場』を命じるという仕組みです。
屋台は大きな観光資源になっていますが、一方で道路の占有や悪臭などの問題で地域住民からの苦情も絶えません。福岡市や福岡県警は1990年代半ば以降、規制を強化。特に「名義貸し」を禁じたことで、1965年当時、福岡市に400軒余りあった屋台が2011年4月には156店にまで減少するなど衰退しました。この状況に危機感を持った高島宗一郎・福岡市長が、総務省から出向している20歳代の若手を"屋台課長"に抜擢するなどして屋台営業適正化のため法的根拠の強い条例で指導を強化することにしたというわけです。
屋台と地元との軋轢の背景には、「天神、中洲の九州で一番地価の高い一等地で、土地代も払わず営業するのは不公平」という声が中洲の飲み屋街にあります。屋台の中には観光客相手にボッタクリに近い飲食代を吹っかけたり、酔い客の立ちション・食べ残しの異臭を掃除しないままのところなどもありました。この条例で、ともかくも共存の道を探って欲しいものです。
さて屋台の写真を頼んだ毎日福岡会館の同僚たちはきっとこの夜は、そのまま屋台に繰り出したのでしょうか。それとも中洲の3500軒の飲食店のどこかに吸い込まれてしまったのでしょうか。そこは聞き忘れました。