2013

28

8

ぶらパレス ムクゲとフヨウ

 8月も残すところ数日、朝夕はそこここに「小さい秋」を見つけることもできるようになってきました。このままシノギやすくなると良いのですが、関東甲信地方の1カ月予報では9月下旬までは平年並みよりも少し高めの気温のようです。

 今、皇居東御苑ではムクゲ=写真㊤=と、フヨウ=写真㊥=の花が彩りを添え、やすらぎを与えてくれています。ムクゲは百人番所、大番所の辺りで、フヨウは芝養生中のために9月下旬まで立ち入りできなくなっている松の芝生と蓮池濠の間で花をつけています。ムクゲもフヨウも初夏から秋口まで咲き続けますが、良く見ないと見分けのつかないくらいにそっくりです。●IMG_7703トリ フヨウ小型.jpg

 ムクゲ(木槿、別名:ハチス)とフヨウ(芙蓉)は、観賞用のハイビスカスなどと同じアオイ科の仲間で、このアオイ科は約75属1500種、美しい花をつけるものが多いことで知られています。さらにアオイ科には食用のオクラ、またワタやケナフなど繊維として利用されるものもあります。ちなみに、家紋に使われる葵(徳川家の「三つ葉葵」、下鴨神社の「双葉葵」など)は別科であるウマノスズクサ科のフタバアオイの葉をデザインしたものです。

 ムクゲは中国原産で「木槿」の漢字は中国名。お隣の韓国では国花とされています。日本へは万葉の時代に渡来したようですが、当時「朝顔」と呼ばれていたのがじつは「ムクゲ」のことではないかともいわれています。花ひとつひとつの寿命は極めて短く、「槿花(きんか)一朝の夢」とか「槿花一朝の栄」などといわれ、朝開花して夜には花を閉じる一日花なのです。短命さと慎ましさなどが、昔から文学や茶の花としてよく取り上げられるゆえんでしょうか。

 フヨウは四国・九州あたりに自生し、白あるいは濃淡、さまざまなピンクの花色で、ムクゲより大きめの花を咲かせます。昔から「芙蓉の顔(かんばせ)」などと美人に喩えられ、こちらもムクゲと同じ一日花です。フヨウの園芸品種、スイフヨウ(酔芙蓉)は朝の咲き始めは白く、次第にピンクっぽくなり、夕方には赤い花色に変わります。まるで色白美人がお酒の酔いとともに赤く染まっていく姿のようなので、この名が付けられています。

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