東日本大震災からの復興のシンボルとして南米チリから贈られたモアイ像が宮城県南三陸町の「南三陸さんさん商店街」に設置され、5月25日に贈呈記念式典が現地で開催されました=写真㊤(毎日新聞26日朝刊より)。新聞やテレビで報じられたので、ご存知の方も多いと思います。
このモアイ像については、3月19日、22日の当ブログでも紹介したように、3月に竹橋から近い丸の内ビルで展示され、その後大阪でも公開され、南三陸の現地で仕上げ・設置されたものです。3月にも書きましたが、1960年のチリ地震の津波で41人が亡くな南三陸町・志津川地区に91年、チリからモアイ像が贈られましたが、東日本大震災の津波で像が壊れたことから、2012年春に来日したチリのピニェラ大統領が、新たな像の寄贈を約束していました。
像は、高さ約3メートル、重さ約2トン。91年の像がチリ本土の石で造られたのに対し、今回は島の石を使い、島の職人が協力して島内で製作された"ホンモノ"です。
写真㊨は丸ビルでの展示風景です。同じ像ですが、違いますね。三陸町に設置された像には目があり、帽子(?)を被っています。通常、モアイ像というと、写真㊨を思い浮かべる人が多いと思います。
実際、イースター島に見られるものの多くはそれで、まれに帽子を被ったものもあるという程度のようです。帽子については、はなから被っていないものが多かったのか、全ての像がかぶっていたのか、はたまた被っていたものでも歳月を経て落ちてしまったのか......。
目は、本来はモアイ像に取り付けられていたそうです。この目、白サンゴと黒曜石でできていますが、イースター島近海にサンゴ礁がないため、島民は交易で入手していたと見られるとのこと。島内の像はどれも目が失われていて、わずか残った目が島の博物館に展示されています。
目というと、日本でも仏像の開眼法要などで知られますが、同じように、モアイに目を入れるのは「魂を入れる」といった位置づけで、今回も贈呈式に先立ち、島の石工を迎えて目をはめ込む儀式が執り行われました。
「商店街に設置」といっても、この商店街自体が、まだ「仮設」の状態だそうです。モアイの登場が、商店街の本格的な復興につながることを祈らずにはいられません。