「栴檀(センダン)は双葉より芳し」。そう、優れた人は幼い時から光っており他人より優れている、ということを喩えて言うことわざですが、実はこの栴檀は香りのよい扇子や線香、仏像などに使われる白檀(ビャクダン)のことを指すのですね。センダンはセンダン属センダン科、ビャクダンはビャクダン属ビャクダン科で、英名もセンダンはChinaberry、ビャクダンはSandalwoodと違う種類なのですが、中国名ではビャクダンをセンダンでいうことから、ことわざもこうなったのです。
で、そのセンダンが東京・竹橋のパレスサイドビル南側にある皇居東御苑の緑の泉南側にあり、花を咲かせてきました。双葉どころか4~5mもある大木になっていて薄紫色の小さな花がこぼれるようにたくさん咲いていました。ただ、緑の葉っぱもすでに多く繁っているせいか花はそれほど目立っては来ません。
秋になると黄褐色に熟した直径2cmほどの楕円形の実が枝いっぱいになり、葉が落ちても実だけがずっと残っています。幾千もの珠のように見えることからセンダマ(千珠)が転じてセンダンと呼ぶようになったといわれています。
実をそのまま犬などが食べると中毒を起こし死ぬこともありますが天日に干したものは苦楝子(くれんし)という生薬として、整腸、鎮痛の効果があるとされています。樹皮を細かく刻んで乾燥したものは生薬で苦楝皮(くれんひ)といい虫下しの薬として、葉っぱは除虫に使われていました。また、木そのものは建築材として用いられるだけでなく、木魚の材料としても使われるなど、大いに役に立つ木なのです。