2013

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アメリカから送られた北の丸公園のハナミズキ

 東京・竹橋のパレスサイドビルのすぐ近くの北の丸公園の清水門を上がったところで、ハナミズキが白とピンク色の花を咲かせ、見ごろになっています。向かい合わせで立つ杖をついた吉田茂像が見事な咲きっぷりを鑑賞し、楽しんでいるようです。

 ハナミズキは今でこそ日本のいたるところで見られますが、もともとは北アメリカやメキシコ北東部に自生し、日本にはなかった植物です。外来種と言ってしまえばそれまでですが、日本に入ってきたのには桜と深いかかわりがあるのです。

 米国・ワシントンDCのポトマック河畔の桜は今や世界的な桜の名所になっていますが、約100年前の1912(明治45)年、時の東京市長だった尾崎幸雄が米大統領夫人のヘレン・タフトさんの要望で贈った3000本の苗木がもとになっています。その返礼として日本に贈られたのがハナミズキだったのです。1915(大正4)年のことでした。約40本の白い花が咲く苗木は日比谷公園や小石川植物園などに植えられました。2年後にはピンク色の花のハナミズキ13本と0.5キロほどの種も贈られ、育てられました。ハナミズキの花言葉は「返礼」「私の思いを受けてください」で日本から贈った桜に対してのお礼としては本当にふさわしい木なのですね。

 しかし、太平洋戦争が勃発するとハナミズキは敵国の花として冷遇され、終戦を迎えたころからは多くが忘れ去られていました。これに心を痛めたのが、朝日新聞のコラムニスト、荒垣秀雄さんで、荒垣さんは「天声人語」や週刊朝日で日本でのハナミズキの復興を訴えたのです。これに東京ロータリークラブが呼応して創立50周年プロジェクトとして日本国内でのハナミズキの植樹を決定、1971(昭和46)年、米国ペンシルベニア州のアーモードロータリークラブから苗木300本が送られてきました。新宿御苑に仮植後、1973(昭和48)年10月に北の丸公園に植え替られえたのです。その後皇居外苑や東京都立水元公園にも植えられ、各地のロータリークラブなどが植樹をして広がっていったのです。

 約100年前、日本に最初に入ってきたハナミズキの原木は、東京都世田谷区の都立園芸高校に2本、小石川植物園に1本残っているそうです。

 ところで、ハナミズキは日本にあったヤマボウシに似ていることから当初、アメリカヤマボウシと名付けられました。しかし、ミズキの仲間で花が目立つところからハナミズキに変わったのです。桜の返礼ということで、日本人の「花見好き」から来たのではなさそうです。

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