2012

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「月から見た日食」 東日天文館みやげ絵葉書2

 昭和13(1938)年11月、東京・有楽町に東京で最初のプラネタリウムが設置された東日天文館(毎日新聞社の前身、東京日日新聞社のビル、東日会館内)で売られていた5枚組の絵葉書「天界五景」のうち「大彗星」については17日に書きましたが、今回は「月世界より見た日食」です。

 絵葉書はアマチュア天文家、小川誠治さんのコレクションの一つです。タイトルの後ろには「黒円は地球です」と書かれ、「画面に見える月世界の噴火口の多くは直径五、六〇哩を超えるものもあります。(地球の噴火口は最大なものでも直径六、七哩を超えません)」という解説がついています。

 人類が初めて月面に降り立ったのがアメリカのアポロ11号のアームストロング船長で、昭和44(1969)年7月20日のことですから、その30年以上も前に発行されたこの絵葉書はもちろん、月からの風景を想像して描かれたということはわかります。殺伐とした広大な荒野に大きな地割れとクレーターが描かれ、漆黒の空に地球のほか、小さな星もいくつか光り、宇宙への興味をかきたててくれます。

  月から見た日食ということは、地球から見れば月食になります。つまり、月では地球が太陽を隠すのが日食で、地球から見ると地球の影が月に映る月食というわけです。この月から見た絵では日食により地球に隠された太陽がまるで金環食のように見え、ダイヤモンドリングのような光もあります。しかし、多分、月では日食の食の最大時に太陽はこのようには見えないでしょう。というのも、地球は月に比べずっと大きいからです。日食の食の最大時には、地球から見た時の日食とは違い、金環食のようにはならず、地球が完全に太陽を覆って真っ暗となる皆既日食になるわけです。

 いずれにしても、想像で描かれた宇宙のロマンの世界。日本は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2020年前後に有人月面着陸、2030年前後に月面基地建設構想を打ち出しています。2020年には地球での月食が1月11日、6月6日、7月5日、11月30日と4回あり、以降月食は1年に複数回はありますので、その時には月面から見た日食、地球に隠された太陽が想像の絵ではなく実写真でどんな様子なのかわかると思います。ただ、欠ける前後は太陽がもろに当たっているわけで、月面は相当な暑さになっているでしょうね。

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