2012

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キンモクセイの香りがいっぱい

 住宅地や公園などあちこちで、キンモクセイの花の香りを感じられるようになりました。パレスサイドビル近くの北の丸公園でも、キンモクセイの木の数はそれほど多くありませんが、歩いているとどこからともなくあの心地よい甘い香りが漂ってきます。

 「心地よい甘い香り」と書きましたが、一部にはキンモクセイの香りからトイレを連想する人もいるようです。かつては、トイレの悪臭をまぎらわすためにキンモクセイをトイレの近くに植えた家も多かったそうです。キンモクセイが花を咲かせ芳香を放つのは1年でせいぜい23週間。その他の期間は悪臭を紛らわせることができなかったのですが、その後、トイレの芳香剤にキンモクセイの香りが使われるようになり、トイレでこの匂いが定着したようです。現在のトイレの芳香剤は柑橘系やラベンダー系が主流で、キンモクセイ系はほとんどありませんが、かつての芳香剤の匂いが印象に深く残っているためにトイレに結びつくようです。キンモクセイにとってはまったく迷惑な話ですね。

 ものの本によれば、キンモクセイは江戸時代に中国から渡来した、とありますが、静岡県三島市の三嶋大社には樹齢1200年を超えるともいわれ、天然記念物にも指定されているキンモクセイがあります。時には8キロ離れたところにまで匂いが届いたそうです。で、「江戸時代に渡来」とすると、当時で樹齢700800年になりますが、どうやって持ってきたのでしょうかね。

 また、雌雄異株ですが、日本には雄株しか入っておらず実を付けない、ともあります。確かにキンモクセイの実って見たことありません。それでは日本ではどうやって増えたのでしょうかね? キンモクセイは非常に生命力の強い木で、どうやら挿し木をしたり、自然に挿し木状態になって増えていったということのようです。

 キンモクセイは漢字で書くと金木犀。樹皮が動物のサイ(犀)の皮膚に似ていることから付いたといわれています。中国名は丹桂、花は桂花。中国のお酒で桂花陳酒というのがあります。キンモクセイの小さな花弁とつぼみを白ワインに漬け、3年間熟成させたもので楊貴妃も愛飲したと伝えられています。キンモクセイの甘い匂いがしますが、これを飲んでトイレでの飲酒を連想する人も......。

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