シモバシラ(霜柱)が咲き始めました!? こんなレポートをすると、「残暑が続き、まだまだ暑い中で何を寝ぼけたことを」と怒られるかもしれません。でも、パレスサイドビルすぐ前の皇居東御苑内二の丸雑木林で、本当にシモバシラが咲いているのですよ。
シモバシラといっても冬の寒い朝、土や小石を持ち上げている氷の柱のことではありません。シソ科の多年草の植物のことです。枝の上の葉っぱのわきに小さな白い花がずらっと並んで咲きます。
冬には地上の部分が枯れてしまいますが、地中の根は生きており、地中の水分を吸い上げて枯れた茎の上の方まで送り続けるのです。そして、気温が氷点下になった寒い朝には、吸い上げられた水分が茎の裂け目からはみ出して凍り、少しずつ外に押し出されて広がり、氷の花というか、霜柱が立ったようになります。この現象から植物であってもシモバシラという名がついたようです。
寒い日が続くと前日に凍った氷が次々に横にのびたり、くねくねと連なったりと「氷の結晶」が不思議な形を作っていきます。東京では高尾山などでよくみられるようです。だだ、日光が直接当たると溶けてなくなってしまいます。また、地中の根が凍ってしまうと水分を吸い上げることができないので、この現象は起きません。
つまり、シモバシラの枯れた茎に氷の花が咲くのは、限られた気象条件のもとで起きるのです。シモバシラの花は秋の間に楽しみ、冬はシモバシラの氷の花を楽しんでください。寒い朝に早起きしてみれば溶けずに残っているでしょう。