パレスサイドビルのすぐ南側の皇居東御苑内二の丸菖蒲田を前にした雑木林で、センニンソウが開花し、十字状の真っ白な花をたくさんつけています。つるのような細い茎に2~3センチの小さな花。しかし、その茎がほかの低い木の上にかぶさるように伸び、花が木を覆っている感じもします。やがて実を付けますが、その先端には白い羽毛状の長い毛が生じ、これが仙人のひげに見えることからセンニンソウという名がついたそうです。
「ウマクワズ(馬食わず)」「ウシノハコボレ(牛の歯こぼれ)」と仙人とはおよそ想像出来ない別名がついています。葉っぱなどに毒があり、馬も食べないとか、牛が牧草と一緒に食べてしまうと歯が抜けてしまうということからつけられたようです。実際、葉の汁が皮膚につくと赤くかぶれて水疱ができるほど毒性が強いのです。「ドクカズラ」「ハレグサ」という呼び名もあるそうです。しかし、これが葉をもんで手首の内側にはると扁桃腺炎の痛みを取る薬にもなるとも言われています。そうでまさに、「毒にも薬にもならない」のではなく「変毒為薬(へんどくいやく)」なのでしょうが、素人療法は禁物です。
ところがところが、センニンソウの花言葉は「安全」「無事」や「あふれるばかりの善意」「美しい心」だそうです。別名と花言葉でこんなに違っている植物も珍しいのではないでしょうか。