堂島アバンザは地上23階、地下2階、最頂部99.8mのオフィス兼商業施設ビルです。その前の広場はカップルや若者たちの待ち合わせスポットになっています。そこにあるのが毎日新聞大阪本社の玄関ポーチです。夜にはライトアップされて、ひときわ目立ちます。
この玄関をかつて毎日新聞記者であった人見絹枝さんも通っていたわけです。人見さんは日本人女性初めてのオリンピックメダリストです。女性が太ももをあらわにして陸上競技をやるなんて、と言われた時代でしたが、子供のころから脚が速く、陸上競技に励む傍ら1926年に毎日新聞大阪本社運動課に入社しました。女性のスポーツ振興のために健筆をふるう一方で、練習に励み、1928年のアムステルダムオリンピックに出場しました。
100mでの入賞が第一目標でしたが、800m、円盤投げ、走り高跳びと、女子のすべての個人種目にエントリーしました。100mで残念ながら決勝進出ができなかったため、800m出場を決断、予選を2分26秒2で通過しました。決勝でドイツのリナ・ラトケに敗れたものの、2分17秒2という好タイムで銀メダルを獲得しました。その人気ぶりは、なでしこジャパンの澤穂希選手をはるかに凌ぐものだったと想像されます。
帰国後も選手として、新聞記者とし活躍しましたが、重い肺炎にかかり、1931年8月25日に帰らぬ人となりました。アムステルダムで銀メダルを獲得した日から、ちょうど3年後の日でした。