明治大学のわきの道を登ったところにある同ホテルは、川端康成や、池波正太郎、三島由紀夫たちが定宿としていたことでも知られています。壇一雄が舞台女優の入江杏子と深い関係になり、同ホテルで同棲生活を送っていました。その愛と破局を描いた「火宅の人」は、壇の代表作の一つになっています。映画化された時の緒形拳と原田美枝子のラブシーンが衝撃的でした。
このクラシックな建物はアメリカのウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計によるもので、1936年に完成しました。戦争中は帝国海軍によって使われていましたが、敗戦のあとは連合国最高司令部(GHQ)によって接収されて陸軍婦人部隊の宿舎として用いられました。
アメリカの女性軍人たちが「HILLTOP」と呼んでいたところから、接収解除後、ホテルを開業する際に、そのまま「山の上」としたと伝えられています。駿河台の丘の上にふさわしいネーミングですね。東京のクラシックホテルの代表格であり、アール・デコ調の内外装と、都心とは思えない静かな環境は、「瀟洒な」という形容詞がぴったりではないでしょうか。
てんぷらや中華料理、南欧料理のレストランがあり、おしゃれなバーもあります。大人の隠れたオフタイムにおすすめです。