東京地区の気温、湿度、雨量など気象観測の拠点だった大手町にある東京管区気象台の露場(ろじょう)が、同気象台の虎ノ門への移転計画ともなってパレスサイドビルをはさんで反対側の北の丸公園に移るという話は先日紹介しましたが、風速、風向、全天日射量などの観測機器は平成19年11月に別の場所に移転して正式な観測を行っているのです。
風速計などが移転した先は北の丸公園内の科学技術館屋上で、地上から約35mのところです。それまでは大手町の気象庁庁舎屋上の74.5mのところにあったのです。移転の理由は同気象台移転とは関係なく、周辺、特に南側にJA、経団連、日本経済新聞社の3つの超高層ビルが建ってきたため、観測に影響が出る恐れがあるからだそうです。
これまで東京都内で一番高い気温を示しています練馬区の武蔵中高の正門近くにある気象庁のアメダス観測所も今年度いっぱいで、約7㎞西の日本銀行石神井運動場跡地に移転するそうです。周辺にビルが建つなどして風通しが悪くなり、正確な観測が難しくなったためといいます。地元では「とうきょうで一番暑い、というイメージが変わるかも」と期待する人もいれば、「武蔵名物が一つなくなるのは寂しい」という声もあります。都市化が進み、高いビルが建つというのは、長年録りつづけてきた観測データも、観測ポイントも変わり、町のイメージまで変えてしまうようです。