パレスサイドビルすぐ南側にある皇居・東御苑の二の丸雑木林でフタリシズカが清楚な白い花を咲かせています。雑木の下で高さ30~40㎝のところに5㎝位の2本の花茎が立ち、米粒ほどの小さな花が付いています。ひっそりと、ややもすれば気づかずに通り過ぎてしまうほど静かに咲いています。
その昔、源頼朝に捕らえられた静御前が頼朝と妻政子の前で「吉野山 峰の白雪踏み分けて 入りにし人の跡ぞ恋しき」「しづやしづ 賤のをだまき 繰り返し 昔を今になすよしもがな」と義経を慕って歌いながら舞い、頼朝の怒りを買いましたが、政子が「主を思う女心は、女しかわからないものです」と言って静御前を助けたという話は有名です。静御前はその後、義経が平泉で亡くなったことを知って、身も心も弱り果てて義経を弔う日々を送る中、「九郎(義経)殿」と一言残して義経のもとに旅立ったということです。
花の名前は花茎が2本あることから、静御前の霊と静御前の霊に魅かれた菜摘女(なつめ)が舞う姿に見立ててその名がついたといわれています。
別の花で、花茎が1本のヒトリシズカという花もあります。フタリシズカには花茎が3本あるものも、4本、5本出るものもあるそうです。でもサンニンシズカ、ヨニンシズカとはなりません。もっとも、3人とか4人になると、おしゃべりなどが多くなって静かではありませんからね。