食通で知られる池波正太郎をして、「時の流れをとめてしまう」(著書「東京のうまいもの」から)と言わしめた「かんだやぶそば」の濃い口のそばつゆ。秘伝の「返し」は2月19日夜の火災で失われてしまいましたが、「一日も早い復活を...」と願うファンの声に押されて、いま再建計画が進められています。
パレスサイドビルから歩いて15分ほど。神田淡路町の火災跡で建屋の解体が進んでいます。「かんだやぶそばを、ご愛顧いただき誠にありがとう存じます。この度の店舗火災につきましては、皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけいたし心よりお詫び申し上げます。3月21日より再生に向け、店舗解体に入りました。既存店舗は内部炎焼が激しいため、全面的に取り壊し新規に店舗を建築することとなりました。建築計画は現在白紙ですが、早期再開に向け全力で努力いたします。再開時期等決まり次第お知らせさせて頂きますので、今暫くお時間を頂戴したく存じます」という張り紙があります。
「かんだやぶそば」は創業130年、「江戸三大蕎麦」の一つである藪系の本家にあたる店です。池波をはじめとする文人や落語家などが足しげく通った店として有名で、店に入ると名物女将が「いらっしゃ~~い!」と独特の節回しで客を迎えることでも知られています。
いまテレビで加山雄三さんの「若大将のゆうゆう散歩」が人気を呼んでいますが、その「若大将シリーズ」のロケにもお店は登場しました。映画「帰ってきた若大将」で、若大将の実家として、撮影が行われました。昨年5月に加山さんがお茶ノ水駅周辺を散歩した時にそのことが語られていました。
一日も早く復活して「いらっしゃ~~い!」の声に迎えられて、またあのそばを秘伝のつゆで味わってみたいですね。