北京西駅を20時09分に発車した列車は翌々日の16時00分にラサ駅に到着します。43時間51分、3703㎞の長旅です。上海からはもっと大変です。19時28分に発車してラサにつくのが翌々日の19時15分。47時間47分、4373㎞走り続けます。
機関車はアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)製、客車は高度の高い所を走るため気密性を重視して、カナダの航空機メーカー、ボンバルディア製です。言うなればチベット高原をひた走る航空機、ということになります。
本当に「ひた走る」という以外に表現のしようがないくらいひた走ります。2時間くらい居眠りをして目が覚めても、景色は同じです。緑の草原に湖、はるかかなたに雪をいただいた崑崙(こんろん)山脈が眺められます。運が良ければチベットカモシカが線路わきにいたりします。
毎日新聞社(本社・パレスサイドビル)も30年くらい前にチベット展を開催したことがあります。曼荼羅の展示やラマ僧の読経などが中心だったと記憶しています。そのころはチベットなんて冒険家か、チベット仏教研究者など限られた人たちの世界だったわけですが、青蔵鉄道の開通がチベットを私たちにぐっと近づけてくれました。