【2015年10月29日】のアーカイブ

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 パレスサイドビルを出て皇居・東御苑で秋探し。「赤い実」の続きです。

 まずはクロガネモチ(モチノキ科)=写真㊤=です。本州(茨城・福井以西)~四国、九州、沖縄、さらに台湾、中国、インドシナまで広く分布します。高さ約20メートルにもなり、葉は革質で表面は光沢があり、5~6月に直径4ミリほどの淡紫白色の花が開きます。実は直径5~8ミリの球状で赤く熟します。ちょっとデラウエア(ブドウ)みたいでもありますね。前回紹介したウメモドキにもちょい似てます。漢字では黒鉄黐。鳥の捕獲などに使った鳥黐(とりもち)が樹皮から取れるそうで、葉柄や枝が紫色っぽい(やや黒っぽい)ところから「黒鉄黐」の名がついたそうです。

⑥PA140008ゴンズイ小.jpg お次はゴンズイ(ミツバウツギ科)=写真㊧。魚じゃありません、植物です(笑)。本州の関東以西~四国、九州、沖縄、朝鮮半島、中国、台湾に広く分布。漢字では権萃。名の由来は、樹皮の模様が魚のゴンズイに似ているという説とともに、材質がもろくて役に立たないことから、役に立たない(食べられない)魚のゴンズイと同じでこの名をあてたという解説も見ました。本当はどうなんでしょうか。5~6月に枝の先端に15~20センチの円錐花序を出し、黄緑色の小花を多数つけます。実はミカンの房状で、9月半ばに赤く熟し、やがて裂けます。東御苑のみも既に裂け、中から直径5ミリほどの黒い光沢のある種子が1~2個ずつ、顔をのぞかせていました。

 続くは、オトコヨウゾメ=写真㊨㊤=とコバノガマズミ=写真㊨㊦。同じスイカズラ科で、その下の属も同じガマズミ属ですから、よく似ていて、ちょっと見、区別がなかなかつきません。コバノガマズミは葉柄に毛が密生しているので区別できるといいますが、この写真ではちょっとよくわかりません。ただ、実はコバノ④DSC_6717オトコヨウゾメ トリ小.jpgガマズミの方がまっているのに対し、オトコヨウゾメの方がまばらで垂れ気味ということです。

 オトコヨウゾメは本州~四国、九州の太平洋側の暖温帯・冷温帯に分布する落葉低木で日本固有種。コバノカマズミは関東以西の本州、四国、九州のほか、朝鮮南部にもあり、暖温帯・冷温帯下部に分布する落葉低木というのはオトコヨウゾメと同じ。

 「ガマズミ」は漢字で「莢蒾」と書くそうで、「神ッ実」あるいは、「噛み酢実」が転化したなどの説があります。「スミ」は「染め」が語源との説もあるそうで、「カマズミ=蒲染」という表記も見たことがあります。⑤PA140012コバノガマズミ小.jpgコバノガマズミは「小葉莢蒾」で、カマズミに比べて葉が小さいというのが名の由来。

 オトコヨウゾメの名の由来に定説はないようです。「ヨウゾメ」は、木曽・下伊那地方でカマズミをさす方言が「ヨウゾメ」ということで、漢字もカマズミと同じ「莢蒾」を充てるようですが、なぜオトコなのか。ヨウゾメは実が大きくて熟すと食用にしていたそうですが、オトコヨウゾメは実がやせていて苦く、食用にならないといいます。喰えないから男ってか?

 最後はツリバナ(ニシキギ科)=写真㊦。北海道~九州、アジア東北部に分布する落葉低木で、高さ3~4メートルになります。初夏に8ミ⑦DSC_6709ツリバナ トリ小.jpgリほどの緑白色から淡紫色の小さな花を多くつけますが、長い柄の先に吊り下がるので、「吊り花」と呼ばれます。実は径1センチほどの球形で、最初は緑色から赤褐色の種皮に包まれていますが、秋も深まると裂けて朱色の仮種皮に包まれた種子を通常は5個ぶら下げます。写真は、ちょっとピントが甘いので見えにくいですが、実が割れている感じはお分かりいただけるでしょうか。

 小1時間の散歩で、前回の分と合わせて7種類もの実を発見できるとは。東御苑は凄い。恐るべし、です。

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