【2014年9月18日】のアーカイブ

 花子の1.jpg高視聴率を維持したNHKの連続テレビ小説「花子とアン」は、全156回9月27日放送分が最終回です。毎日新聞によると、先月の末にはクランクアップを迎え、ヒロイン花子役を演じる女優の吉高由里子さんをはじめ、親友・蓮子役の仲間由紀恵さん、夫役の鈴木亮平さんらが出席して横浜市青葉区のスタジオでセレモニーが開かれて、感慨無料だったようです=写真

 波乱万丈だった物語は、『Anne of Green Gables』を訳し終わり、出版の夢がかなうところで終わるようです。出版に向けての推敲に取りかかり、残るは本の邦題を決めるだけとなりますが、当初の題名は『窓辺に倚(よ)る少女』 に決まりかけますが・・・・。出版社から花子は『赤毛のアン』の提案を受けます。花子は納得しなかったのですが、20歳になる娘に「『赤毛のアン』ですってさ」とこぼすと、「素晴らしいわ! ダンゼン『赤毛のアン』になさいよ、お母様!」と思わぬ答えが返ってきました。この物語を読むのは若い人たちなのだと我に返った花子は、慌てて社長に電話を掛け、翌日には印刷所へ回ってしまう原稿のタイトルを、『赤毛のアン』に変更してもらいました。そのタイトルが若い人たちの感性をつかんだのか、1952(昭和27)年5月に『赤毛のアン』が出版されると大ベストセラーになりました。

 花子に『アン・オブ・グリン・ゲイブルス』を託したミス・ショーは、帰国した翌年に祖国カナダで亡くなり、原作者のモンゴメリも戦争中に亡くなっています。しかし、カナダの人々の思いは花子に託されました。物質的には恵まれない時代でしたが、想像する喜びを知り、困難の中で、愛する家族を得ていくアンの物語は、日本中の若い女性たちの心を虜にしたのです。

 ヘレンケラー.pngこのブログで前回、花子とアンを取り上げた時、毎日新聞社とも深いご縁のある『奇跡の人』ヘレンケラーが1955年に3度目の来日をしたときに、通訳をしたのが村岡花子だったとお知らせしました。残念ながらNHKの連続テレビ小説はヘレンケラーと花子の出会いにまでは進みませんでしたが、村岡花子は『大森にて』と著書の後書きに署名していたこの時代も、真摯に誠実に仕事をされていたようです。『赤毛のアン』のその後、アンシリーズ、エミリーシリーズ、丘の家のジェーン、果樹園のセレナーデ、パットお嬢さんなど、モンゴメリの作品翻訳を次々と手がけました。最後の翻訳作品となった『エミリーの求めるもの』は、彼女の没後、1969年に出版されました。

 つい先ごろ、村岡花子著の伝記『ヘレン・ケラー』が、偕成社文庫で復刊されたのも、うれしいニュースです=写真

 クリスチャンとしては日本組合基督教会大森めぐみ教会(現、日本基督教団)=写真=の会員として、教会に通ったようです。さらに、英語の讃美歌の翻訳も行っています。 日本基督教団の1954年版讃美歌にも2曲収録されているそうです。

めぐみ教会横.jpg大森めぐみ教会は、今も大田区・池上本門寺の南に静かな佇まいを見せています。大森めぐみ教会の前はゆるゆるとした坂で、「めぐみ坂」の名があります。花子はこのめぐみ坂を空想の翼で上っていたのでしょう。

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