今朝、6時50分に家を出ると空に鮮やかな飛行機雲。日の出から15分ほど、朝陽の赤みがかった色を吸い込んだ雲たちの間の白い筋がひときわ浮き上がって見えました。
♪空に憧れて 空をかけてゆく あの子の命はひこうき雲~♪
今年、宮崎駿監督の「風立ちぬ」主題歌にも使われたユーミンの「ひこうき雲」を心の中で口ずさみながら、駅に急ぎました。
パレスサイドビルに出社して空を見上げると、雲はなく、今日もよく晴れたまぶしい青空。暖かい1日です。
飛行機雲ができるメカニズムは大きく分けて2種類あります。1つは、エンジンから出る排気ガスが作り出す雲。飛行機が行く高度1万メートルの気温は地上より約60度も低いマイナス40度以下の世界で、飛行機のエンジンが周囲の空気を吸い込んで圧縮・燃焼させ、300~600度の排気ガスを出すと、その中の水分が急に冷やされて凍り、雲となって白く見えるのです。
2つ目は、飛行機の主翼などの後ろに空気の渦ができて、部分的に気圧と気温が下がり、水分が冷やされるためにできる飛行機雲です。
気象情報提供会社「いであ」のウェブサイト「バイオウェザーサービス」によると、飛行機雲は気圧・気温・湿度・風速など大気の状態が条件に合う必要があり、湿度が飽和か過飽和になっているところを飛行すると発生します。いったん発生すると、すぐに消えないことも多く、場合によっては数時間も残ることもあるとのこと。日本の上空がこの条件になるのは、秋から初冬にかけてが多いそうです。
同サイトは、日本人が飛行機雲をよくみるようになったのは、「第二次大戦末期の昭和19年 (1944年)の秋、アメリカ軍のB-29による日本本土爆撃が激しくなったころからと思う」と書いています。B-29による初の本土空襲は、1944年6月、中国の成都から北九州を目標に飛来したものですが、本格的には米軍がマリアナ諸島を攻略して大規模な航空基地を建設して以降のことで、マリアナからの初空襲が同年11月24日。この後終戦まで続くわけですが、B-29の飛行高度、飛行速度、エンジンの構造など、この時代のこの季節、飛行機雲発生の必要条件に合致したということでしょう。ちなみに、日本軍の記録にも「B-29の高高度来襲の時はかならず航跡雲が発生する」と書いたものがあるそうです。
ひょっとして冬の季語かも、って思いましたが、夏は入道雲、積乱雲、秋はいわし雲、うろこ雲、ひつじ雲が、冬では冬雲、寒雲(かんうん)、凍組(いてぐも)、富士の笠雲などがありますが、飛行機雲を使った句は「無季」、つまり季語ではないということです。