自宅最寄りの地下鉄駅へいつもと違う路地を歩いていて、レトロな手押しポンプを見つけました。水道が普及するまではどこにでもあったあれです。路地の脇、引き戸の玄関横に備え付けられています。レトロ風とはいっても近くに掘り井戸もなく、パイプを乗せる台板も見当たりません。一瞬オブジェかとも思いましたが、よく見るとそれほど古いものではなく、きちんと使える状態になっているようです。塀も柵もない開放的なお宅とはいえ、あまりジロジロ物珍しげに覗き込むのも憚られて、写真を1枚撮らせてもらって通り過ぎました。近くの地下鉄駅からパレスサイドビルのある竹橋駅までは乗り換えを含めて30分、もちろん田舎ではありません。
数日前のニュースで利根川水系ダムの水位低下を受け、6都県(東京、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木)で10%の取水制限を行うことを決めたと報道されていたから、古井戸のポンプが何気なく目に入ってきたのでしょう。実際は都心の住宅地でも、井戸を利用している家庭は珍しくないのかもしれません。
気象庁の3カ月予報でも、9月にようやく雨量が回復すると予想され、関東地方では水不足が心配される、ということです。
井戸があれば水不足も心配なし、というわけでもないでしょうが手押しポンプは近年、どうやら静かなブームのようです。防災用に公園などに設置している自治体もあるようです。
写真のお宅のポンプは、4本の脚で本体を支え、中央からパイプが直接地中に入っていく「打ち込み式」というポンプです。ネットのマーケットでは15,000円から35,000円くらいの価格帯で、直径サイズ違いも含めて50台以上がずらずら出て来ます。うたい文句は「昔ながらのデザインでガーデニング用にもぴったり」。たしかに写真のお宅も玄関脇に鉢植えの嘱物が置かれていましたから、この水やりに使われるのでしょうね。
マンション派には縁がないのですが、井戸水で冷やしたビールも旨いし、と。