2013

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パレスサイドビルも「高層」

 先日、パレスサイドビルが「日本のカッコいいオフィスビル ベスト10」の第2位にランクされた話を書きましたが、その中には、当然ながら高~いビルもあり、「モード学園の50階など超高層ビルもあります」と書いたところ、「高層や超高層って何階?」と尋ねられました。

 結論。正確な定義はないようですが、概ね、「高層」は31メートル超、超高層は60~100メートル超といったところみたいです。

 まず消防法。第8条の2で「31メートルを超えるビル」を高層建築物といいます。これは概ね10階建て以上に相当します。31メートルは、はしご車が届く高さと考えられるということですが、1923(大正12)年2月に完成した旧「丸の内ビル」の高さが100尺=31メートルで、1933(昭和8)年、皇居外郭一帯が美観地区に指定された際、軒高は丸ビルが基準になり、また、丸ビルが、完成半年後の関東大震災に耐えたことから、市街地建築物法(建築基準法の前身)で耐震性のために建造物の高さも31mに制限され、戦後も続いたとのこと。

 以上、高層の定義は比較的明確といえます。

 では、超高層はというと、『建築大辞典』(彰国社刊)によると、超高層は「31メートルの建物の高度制限が撤廃されたときに31メートルを大幅に超える建物に対して作られた名称」と、曖昧です。建築技術などの進歩で31メートルの高さ制限が緩和されたのは1963(昭和38)年で、霞が関ビル(1968年開業、36階・147メートル)が「高層ビル」の先がけとされます=写真㊤は完成当時のもので、皇居の向こう側の右奥にパレスサイドビルの丸い塔も見えます(^―^)。ただ、制限緩和で建った第1号はホテルニューオータニ(1963年開業、17階・72メートル)だったようで、そのころは「超高層」という単語は一般にはまだなじみがなかったのか。

 『広辞苑』では、「15階以上、または、100メートル以上の高さの建築物を超高層建築と呼ぶことが多い」としていますが、1階の高さが4メートルとして15階は60メートルですから、この基準だと60メートル以上または100メートル以上ということになり、かなり大雑把で幅がある記述ですネ。

 ネット辞書Weblioで探したところ「60メートル以上の建築物から建築基準法や国土交通省の認可、航空法、消防法などで制限が異なることから60メートル超の建築物を超高層ビルと呼ぶケースが多い」(三幸エステート㈱のサイトより)。建築基準法第20条で「高さが60メートルを超える建築物」に厳しい構造上の規制を課していることなどを指しているようです。また、超高層ビル群がある新宿区は「区景観形成ガイドライン」の「超高層ビルの景観形成ガイドライン」の対象を「高さ60メートルを超える建築物」としています。

 毎日新聞のデータベース(地方版を除く)で「超高層」で検索したら1144件ヒット。最初は「霞が関ビルが完成」(1968年04月13日)。その後、「超高層」は記事で多用されますが、定義は厳密ではなく、例えば「水不足続けば、超高層都市・東京大ピンチ」(1987年07月11日)の記事では、「『東京改造元年』とまでいわれる再開発ラッシュで、昨年1年間だけでも高さ45メートルを超える超高層ビルが34棟誕生した」と、45メートル超を超高層とする記述があります。

 さて、パレスサイドビルの高さは9階建て部分の高さが約37メートル、エレベーターの東西2本の白い円塔は50メートル余り。31メートル基準では「高層ビル」になるんですね。ウ~ン。すぐ近くの大手町界隈に超高層ビルが林立する中で、「高層」という自覚はあまりなんですけど・・・まぁ、いいか。気にしない、気にしない。

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