パレスサイドビルはもう初夏の装い――。東京・竹橋のパレスサイドビル地下1階、1階のアーケード街中央廊下に、初夏を彩る風物詩、鯉のぼりと武者のぼりが1日、お目見えし春休みに家族連れで訪れた人たちや館内のテナントで働くサラリーマン、OLの目を楽しませています。
館内の飲食店や商店の有志で組織する「パレスサイドビル名店会」(会長・中島潜赤坂飯店社長)が、館内を利用する人たちに季節感あふれる日本の伝統的風習に触れてもらおうと、4年前から毎年この時期に展開しているものです。1階廊下の手すりや天井からは、吹き流し、真鯉、緋鯉、青鯉の鯉のぼりが吊るされ、中央廊下吹き抜け部分を泳ぐように飾られているほか、東西の夢の階段の上には、長さ7メートルもある武者のぼりが階段を上下する人たちを見守るように斜めに飾られています。武者のぼりの絵柄は上杉謙信と武田信玄が戦った川中島の合戦と、豊臣秀吉、加藤清正が中国地方で戦った合戦図の模様が描かれています。さらに、名店会加盟各店の入口では小さな鯉のぼりが見られいます。
中央廊下の鯉のぼりや武者のぼりは、岐阜県の無形文化財に指定されています郡上八幡の紺屋、渡辺染物店、渡邊庄吉さんが430年前から郡上八幡に伝わる郡上本染の技法で染め抜いたもので、味わい深い色合いが魅力です。この郡上本染めは、餅糊で様々な柄や文様を手描きで描いた布を、甕(かめ)で藍玉や木炭、石灰、麩などを入れて醸成させた染液に何度も浸した上に、冬の時期に郡上八幡の中央を流れる吉田川でさらして作られたものです。
鯉のぼり飾りは5月2日までの予定。5月1、2日には地下1階を通る人たちに先着順で菖蒲の葉のプレゼントする企画もあります。また、パレスサイドビルは日曜、祝日は閉館ですが、4月7日の日曜日は「千代田さくら祭り」に協賛して開館し、商店街の数店が営業します。この祭りに合わせて、6、7日には丸の内、大手町などをめぐる無料シャトルバスが神保町の古本屋街や九段下、竹橋にまでルートを延長、パレスサイドビル正面玄関前に「竹橋・毎日新聞社前」という臨時バス停ができ、約15分おきにシャトルバスバスが停まります。