ルーベンスといえば、「フランダースの家」を思い浮かべる人も多いでしょう。東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展(毎日新聞社など主催、21日まで期間中無休)にも、所縁の「キリスト降架」の版画が展示されています=写真㊤。
「フランダースの家」の主人公は画家になることを夢見る15歳の少年ネロですが、クリスマス前日、絵画コンクールに落選。最終回で、食べるものもなく、希望を失ったネロが吹雪の中、アントワープ大聖堂に辿り着き、愛犬のパトラッシュとともに命の炎が燃え尽きんとするその瞬間、雲間から射した一筋の月光が差し込み、ネロはあこがれ続けたルーベンスの名画を見ることができて救われ、至福の思いを抱いたまま昇天する――このシーンで多くの人が泣いたことでしょう。
大聖堂にはルーベンスの「キリスト昇架」=写真㊦㊧、「キリスト降架」=写真㊦㊨=が対であります。「降架」の版画は、絵画と左右反転ですね。
ルーベンス展の会場で「フランダースの犬」関連グッズも販売していました。ねだられてマグネット=写真㊦=を買わせていただきました。