【2013年3月14日】のアーカイブ

 皇居周辺を散策して驚くのは、緑の豊かさもさることながら、江戸城の石垣(写真=皇居東御苑で)ではないでしょうか。あの時代にどういう土木工事が行われていたのか、とにかく巨石を見事に切って重ね合わせている石垣造りにはびっくりします。

 使われている石は、瀬戸内産の花崗岩とか、伊豆半島産の安山岩が多いようです。大型ダンプカーもなく、クレーン車もない時代に、瀬戸内や伊豆半島から海を渡ってどうやって運んできたのか、不思議でなりません。

 史料によれば、すべて海運だと思われます。それはそうですね。東海道を箱根の山を越えて運んでくるわけがありません。巨石ですから大量には運べません。大きな船に乗せて少しずつ運んできたようです。江東区に古石場という地名があります。木場の近くです。木場は言うまでもなく、木材を搬入した場所です。いまでもその名残があって材木屋さんが残っていますし、川や運河にも材木が水の中に置かれています。

 古石場は地名が示すように江戸幕府の石置場でした。西方から船で運ばれてきた石の貯蔵基地でした。江戸時代後期から埋め立てが進み、周辺に深川海辺新田飛地古石場、久左衛門新田飛地古石場、亀戸村飛地古石場と呼ばれる地ができました。そして明治24年に統合して深川古石場が新設されました。地下鉄東西線の木場駅や京葉線の新木場駅で、木場の方が人々に知られていて、石場はちょっと影が薄いようですが、江戸城の石垣は石場経由の巨石でできているのです。

 江戸城も江戸の街並みも、かなりの部分が、石場に運び込まれた石を使い、木場に運び込まれた材木を使って出来上がっているわけですから、この二つの町は江戸建築文化の中核であったわけです。

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