2013

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職人の技、ランドセル

  「冬来りなば春遠からじ」といいますが、冷たい風が和らぐ日も多くなってきました。立春を前に春の足音が遠くの方から聞こえてくるような気もします。

 いま全国の鞄メーカーでは、ランドセルの製作のラストスパートです。新入学を控えた子供たちは大張りきり、親御さんは「ここまで育ってくれたか」と感慨に浸る季節かもしれません。

 老舗の土屋鞄製造所はお祝いののし紙を思わせる段ボールにランドセルを入れて宅配便で新入生の家庭にランドセルを送り届けています。そこには「丈夫で綺麗なランドセルが仕上がるよう、大きなミシン、たくさんの工具たちと一緒に、職人たちが丁寧に大切に作りました。『なんだかランドセルが小さくなったみたい...』、そんな風に感じる6年生最後の日までどうぞよろしくお願いします」というメッセージが添えられています。頑固そうなオジサン職人のやさしいまなざしが感じられます。

 ランドセルの語源は江戸時代末期にさかのぼるといわれています。いまNHKドラマ「八重の桜」でもご覧の通り、幕府も諸藩も洋式軍隊を作ろうと躍起になっていました。さまざまな携行物を兵隊さんが担ぐ背嚢が「ランセル」とか「ラヌセル」(ransel)と呼ばれていました。当時の西洋文明と言えば蘭学です。つまりはオランダ語です。それがなまって「ランドセル」になったといわれています。

 孤児院「ちびっこハウス」出身のタイガーマスクこと伊達直人さんが、全国いろいろなところの児童養護施設にランドセルを寄贈して話題になりました。タイガーマスク運動と言われています。もちろん伊達直人さんは一人ではありません。あなたの隣のAさんがマスクをかぶればタイガーマスク、マスクを取れば伊達直人さんに変身することでしょう。

 「いちねんせいになったら、ともだちひゃくにんできるかな」の歌声とともに、ランドセルたちが入学式を待っています。

 パレスサイドビル近くの北の丸公園の武道館でも、3月は卒業式、4月は入学式のラッシュです。春が待ち遠しいですね。

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