明けましておめでとうございます。凍てつくような寒い日が続く中、天文ファンにとって早速、興味深い天体ショーがありました。3日深夜から4日未明にかけて3大流星群の一つ、しぶんぎ座流星群が極大になり、冬の夜空に流れ星が次々と見られたのです。しぶんぎ座は、かつて天体観測に使っていた四分儀を元にした星座で、壁面四分儀座とも呼ばれ、りゅう座、ヘルクレス座、うしかい座の近くにありました。1928年に国際天文学連盟が定めた88の星座からは外れ、現在は星座として認定されていません。
日本流星研究会によりますと、しぶんぎ座の流れ星は4日未明には1時間で約40個が観測され、特に4日午前4時3分には流れ星の親玉みたいな特大の火球が関東から西日本にかけて見られたそうです。この天体ショーを見逃した方は、再現投映してくれるプラネタリウムもあるようなので、こちらの方でじっくりと観賞してはいかがですか。
プラネタリウムといえば、以前紹介したアマチュア天文家、小川誠治さんが、東京で最初のプラネタリウムを備えた東京・有楽町の東日天文館(毎日新聞社の前身、東京日日新聞社のビル、東日会館内)の昭和14(1939)年1月のパンフレットを送ってくれました。開館翌年に発行されたもので、冒頭の「ゆらめく星」と題した解説には「うら枯れた木々の梢を木枯らしがびゅうびゅうと鋭い音を立てて吹きすぎてゆきます。からりと晴れた夜空には、珠玉のやうな星の群れが輝いてゐます。星を見るのには好い頃ですが、気流の烈しいのが欠点です。星の像がゆらめいてよく見えないのです。甚だしい時には望遠鏡の視野の中で星がダンスをしてゐます」などと記されています。
この解説の後段には月について「今月は満月の時に一番地球に近くなって、距離が35万7000㌔位になります。平均の距離は38万4400㌔ですから相当近づくわけです」と述べています。楕円軌道で周回する月が地球に最も近付き、地球からは普段の月よりも大きく明るく見えるいわゆる「スーパームーン」だったのでしょう。
「スーパームーン」は最近では一昨年の平成23(2011)年3月19~20日、昨年の平成24(2012)年5月5~6日にありました。特に平成23年3月の時は月と地球の距離が18年ぶりに最短となった「エキストラスーパームーン」でした。今年は6月22~23日に「スーパームーン」があるそうです。